【台湾】菜食への新たな一歩、プラントベース食品の普及を義務付ける気候法案が可決プラントベース食品の普及を義務付ける気候法案が可決
菜食の推進が政治に強く求められている台湾では、プラントベース食品を中心とした低炭素型食生活の推進を、政府に義務付ける気候法案が可決されました。
台湾では、気候変動法案が立法院を通過し、植物性食品に特化した低炭素型食生活の推進を、台湾政府に求める新たな要件が盛り込まれました。
プラントベース食品の普及を義務付ける気候法案が可決
2023年1月10日に第3読会で可決されたこの法案では、特にプラントベース食品について言及されています。
具体的には、法案の第8条で、農業委員会は廃棄物の削減と低炭素型食生活を推進しなければならないとし、「低炭素型食生活」には植物性の食品や地元産の食品を含めるとしています。
第42条では、気候変動の緩和と適応の手段として、政府の全レベルにおいて、これらの食品を推進すべきであるとし、低炭素型食生活を目指す市民社会組織の支援を義務付けています。
この法律により、台湾は気候変動に関する法律でプラントベース食品に言及している数少ない地域のひとつとなりました。
また、2050年までに排出量をゼロにするという台湾政府の目標に法的拘束力が与えられ、政府機関は排出量を削減する計画を実施することが義務づけられました。
過剰な食肉消費への対応
今回の動きは、台湾環境動物学会(EAST)によるキャンペーンを受けたもので、食品システムが気候変動に寄与していることを認識するよう政府に要請したことから議論が始まりました。
このキャンペーンは、台湾環境情報協会などの30以上の団体から支持を得ています。
この法案の可決は、Meat-Free Monday Taiwan(ミートフリーマンデータイワン)が100人を超える政治家候補者に、学校での肉なし日(ミートフリーデー)を支持する誓約書に署名させることに成功してから、2週間もたたないうちに行われました。
その結果、公約に署名した候補者の約半数が当選を果たしました。
EASTのCEOであるWu Hung氏は、「世界が気候変動への対応におけるフードシステムの重要性を認識する中、台湾の気候変動に関する法律の中で低炭素食、つまりプラントベースの食事が強調されていることを嬉しく思います。」と述べています。
「この進展を踏まえ、私たちは行政院に対し、2050年のネット・ゼロ・エミッションの道筋と戦略を再検討し、肉の過剰消費に対処するための措置をとるよう要請していきます。」と行政への更なるコミットメントに期待を示しています。
まとめ
フランスでは2021年から、学校の食堂で少なくとも週に1回は肉を使わないメニューを提供することを義務付ける気候変動法案を可決し、民間企業のケータリング会社は、ベジタリアンメニューを提供することを義務付けられました。
国連開発計画(UNEP)は、2022年の気候変動に関する政府間パネルの報告書で、「植物性タンパク質の割合が高い食事へのシフトはGHG(温室効果ガス)排出量の大幅な減少につながる可能性がある。」と述べています。
ひとつしかない地球を守るために、ひとつしかない私たちや大切な人の健康を維持していくためには、うわべの計画ではなく、国家レベルでの行動が必要不可欠です。
今回台湾でプラントベース食品の普及が義務付けられ、菜食へのシフトの大きな一歩が踏み出されたのは、市民と団体の声が政治に反映されたことが重要な要因であったと考えられます。
一人一人が自分ごととして環境問題や健康について考え、声を上げていくといったアクションを起こしていくことが社会の意識を変え、政治に反映されるきっかけとなるのかもしれません。
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