電子廃棄物をアップサイクルする世界の素敵なアイデアをご紹介
サーキュラーエコノミーに欠かせない「アップサイクル」。本来ゴミである電子廃棄物を価値の高い製品に生まれ変わらせる世界の素敵なアイデアをご紹介します。
持続可能な社会の構築が必要とされる中、廃棄を前提としない循環型経済モデル、サーキュラーエコノミーへの移行が重要視されています。
サーキュラーエコノミー実現のための重要なアプローチとして「アップサイクル」が注目されています。アップサイクルは再利用の一つで、リサイクルより持続可能性の高い方法です。
サーキュラーエコノミーの実現を目指してアップサイクルに取り組む企業も増えています。
今回は、世界的に問題になっている電子廃棄物をアップサイクルアイデアをご紹介。
アップサイクルとは
アップサイクルとは、本来捨てられるはずの廃棄物にデザインやアイデアによって新たな付加価値を与えて、アップグレードされた別の新しい製品に再生することです。「創造的再利用」とも呼ばれています。
例えば、破棄されたタイヤのチューブをバッグに生まれ変わらせたり、野菜・フルーツの芯や油の搾りかすを使ってスナックにしたりと、元の製品の素材を活かしつつより価値を高める再利用です。
お菓子の袋をポーチにするといった、自宅でできることもアップサイクルに当てはまります。
(野菜・フルーツの芯や油の搾りかすを使ったスナックに関してはこちらの記事をご覧ください)
アップサイクルは、規模が拡大すればサーキュラーエコノミーとして経済問題・環境問題に果たす役割も大きいとして今非常に注目されているのです。
リサイクルとアップサイクルの違い
廃棄されるものを再利用するという点ではリサイクルと似ていますが、厳密には異なります。
リサイクルは廃棄されるものを一度製品が作られる前の原料に戻し、新たな製品に利用します。
例えば、ペットボトルから繊維を作り出して作る衣類がリサイクルに当てはまります。
一方、アップサイクルは原料に戻さず、元の製品の素材を活かして別の製品に生まれ変わらせるという特徴があります。
アップサイクルのメリット
上記で説明したように、アップサイクルは元の素材をそのまま生かすのでリサイクルのように素材を分解する必要がありません。
素材を分解して原料に戻す場合はエネルギーを使いますが、アップサイクルならエネルギーが必要ないので、地球環境への負荷を抑えることができます。
また、より価値の高い新しい製品に生まれ変わらせるアップサイクルは、製品としての寿命を延ばして、長く使うことができます。
つまり、アップサイクルはリサイクルやリユースよりもさらに持続可能な再利用といえます。
参考:アップサイクルとは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
電子廃棄物の問題
パソコンなどの電子機器の廃棄物である電子廃棄物は英語でE-wasteと呼ばれ、社会問題の一つとなっています。
国連のレポートによると、2019年には世界で5,360万トン近くの電子廃棄物が生まれており、また、2030年までに7,470万トンに増える見込みです。
世界の中でもアジアの電子廃棄物発生量が多く、2019年の日本では256.9万トンの電子廃棄物が発生。一人あたり平均20.4キロの電子廃棄物を出していると報告されています。
電子廃棄物には多くの有害物質が含まれており、焼却すると毒ガスが発生します。排出されたガスは大気汚染や土壌汚染、水質汚染の原因になる上に人の健康にも悪影響を及ぼします。
ガーナのアグボグブロシー地区は世界最大の電子機器廃棄物処理場とも呼ばれており、若者が収入を得るために金属を回収しています。
しかし、ここで働く中の多くの人が有毒ガスによる影響により20~30代という若さでガンにより死亡しているのです。
ガーナではリーズナブルな価格で手に入る中古の電子機器が人気ですが、中古品はすぐにゴミとして廃棄されてしまいます。
アグボグブロシーにみられるようなガーナの電子廃棄物の85%は、国内と西アフリカで消費されたものですが、ガーナで消費される中古の電子機器がほとんどは先進国から輸入されたものです。
参考:電子廃棄物(E-waste)とは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
電子廃棄物をアップサイクルする世界のアイデア
ここからは、電子廃棄物をアップサイクルする世界のアイデアをご紹介。