ヴィーガン・菜食と美肌の関連を最新調査と絡めて徹底解説
毎日の食事は肌に大きな影響を与えます。では、ヴィーガン・菜食は肌にどのような影響を与えるのでしょうか。ヴィーガン・菜食と美肌の関連を最新調査と絡めて解説をしていきます。
炎症を抑える
慢性炎症は肌の老化やさまざまな疾患を引き起こす原因の一つとして注目されています。
慢性炎は自覚症状はほぼないものの、体の中で炎症が起こっている状態です。慢性炎症は肌のごわつきや乾燥などの症状として現れます。
さらに、肌のハリを保つコラーゲンなど健康な細胞を傷つけてしまうため、シワやたるみといった老化の原因になることがわかっています。植物性食品を中心とした食事は、抗炎症化作用が期待できます。
ヴィーガンが全身製の炎症を抑える効果があるという研究報告や、プラントベースの食事を長期的に取り入れるとの炎症のバイオマーカーを低下させる可能性があると結論づける研究があるのです。
(出典:ScienceDirect “C-reactive protein response to a vegan lifestyle intervention”)
(出典:Cambridge Core “Association of vegetarian diet with inflammatory biomarkers: a systematic review and meta-analysis of observational studies” )
さらに、植物性食品には炎症を軽減させるのに役立つ抗酸化物質が多く含まれています。平均して、植物性食品の抗酸化物質含有量は動物性食品の64倍です。
赤身の肉や加工肉は炎症を引き起こす食品とされているので、動物性食品を避けて植物性の食品を摂取するヴィーガン・菜食の食事は炎症を防いで肌や体の健康を保つのに有効的です。
(出典:PMC “Advanced Glycation End Products in Foods and a Practical Guide to Their Reduction in the Diet”)
(出典:Harvard Health “Foods that fight inflammation”)
ニキビの発生・悪化を防ぐ
乳製品を口にせず、野菜を中心に摂取するヴィーガンや菜食はニキビができにくい肌を保つのに効果的です。
理由は2つあります。1つは野菜や果実にはニキビの予防・改善に有効なビタミンなどの栄養素が多く含まれているから。
もう1つの理由は、ニキビができる原因に乳製品が関係性しているとの研究結果が増えているからです。
2020年に公開された「JAMA Dermatology」の研究では、動物性食品や糖分、脂肪分を多く含む西洋洋型食生活が成人のニキビと関連していることが明らかになっています。
18歳以上の成人2万人以上を対象としたこの研究によると、1日に1杯の牛乳を飲むとニキビ発生の確率が12%上昇。
1日に5杯の場合はニキビ発生の確率は76%上昇することがわかりました。
(出典:JAMA Dermatology “Association Between Adult Acne and Dietary Behaviors”)
(出典:HealthDay “Milk Chocolate, Dairy and Fatty Foods Tied to Acne in Adults”)
牛乳はそもそも子牛に栄養を与えるための母乳です。そのため、牛乳にはIGF(インスリン様成長因子)と言う成長ホルモンが含まれます。
IGFは人間の体内でも生成されますが、摂りすぎるとニキビを引き起こす可能性が高いとされています。
また、乳製品はアンドロゲンという男性ホルモンを多く含みます。
アンドロゲンのに含まれるのがテストステロンと言うホルモンです。
テストステロンは体内でDHTという物質に変換されます。このDHT皮脂の分泌を促し、皮脂が毛穴に詰まってニキビができやすくなることがわかっています。
(出典:Verywell Health “Dairy and Acne: Does Milk Cause Breakouts?” )
先述の研究では野菜・魚・植物性の食品が成人のにきびの減少に関連していることも示唆されています。
植物性食品を中心に摂取するヴィーガン・菜食は動物性の食品を避けましょう。特にヴィーガンは乳製品も口にしません。
ヴィーガンや菜食はニキビの発生・悪化を予防するのに効果的な選択肢だと言えるでしょう。
糖化を防ぐ
植物性食品を中心とした食事は糖化を防ぐ効果もあります。
糖化とは体内で余分な糖とタンパク所つが結びつき、「AGEs(終末糖化産物)」という物質が生成されることを指します。
AGEsが肌に蓄積すると肌のハリや弾力の低下や肌が黄くすみといったトラブルを引き起こします。
(糖化についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。)
AGEsは肉などの動物性食品に多く含まれることがわかっています。
特に牛肉とチーズはAGEを多く含み、赤身肉や鶏肉も高温で調理することで高レベルのAGEsが含まれます。
AGEは糖分を摂りすぎると体内で発生するため、ヴィーガン・菜食でも糖分の多い食品の摂りすぎると糖化を引き起こしやすくなります。
ですが、穀物・マメ科植物・パン・野菜・果物・牛乳は、脂肪を加えて調製しない限りAGEsが含まれる値は食品の中でもかなり低いです。
また、揚げ物など高温で調理された食品はAGEが豊富に含まれます。
高温で調理された食品の摂りすぎには注意が必要ですが、野菜・果物・全粒穀物などは調理後も比較的AGEが少ないことが明らかになっています。
食事中のAGEを減らす削減への実用的なガイドには、魚・マメ科植物・低脂肪乳製品・野菜・果物・全粒穀物の消費量を増やし、固形脂肪・脂肪質の肉・全粒粉脂肪乳製品・高度に加工された食品の摂取量を減らすことでAGEの摂取量を大幅に減らすことができると示されています。
ヴィーガン・菜食であればまずAGE含有量の多い肉を避けることができます。
さらに野菜や果物に豊富に含まれる抗酸化物質を摂り入れることはAGEsの減少にもつながります。
糖分や脂肪、高温で調理された食品を摂りすぎなければ、ヴィーガン・菜食は糖化を防ぐのに有効です。
(出典:PMC “Advanced Glycation End Products in Foods and a Practical Guide to Their Reduction in the Diet”)