日本人留学生が多い国ランキングで、第3位のカナダ。
自然豊かでありながら、暮らしやすい都市部もあり、さまざまな文化が入り混じるところが魅力の国です。
そのカナダのヴィーガン事情は、非常に興味深い動きを見せています。
今回は、カナダのヴィーガンカルチャーを徹底的に調査してみました。
出典:文部科学省「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について
「多様性=個性」の国、カナダ
カナダは北アメリカ大陸、アメリカ合衆国の北に位置しています。
オタワを首都とし、10の州、3つの準州からなる国です。
国土は、日本の27倍もの広さで、ロシアに次ぐ、世界第二位の国土面積を有しています。
広い国土は、アラスカやユーコンなど、豊かな大自然が広がる地域、バンクーバーの高層ビル群に象徴される、暮らしやすく先進的な都市、先住民族が暮らす地域など、多様性に満ちています。
populationpyramid.net が公表するデータによると、2022年の人口は約3838万人。
外務省が2020年に統計した結果では、カナダに在留する日本人は7万人以上になるそうです。
ファースト・ネーションズをはじめ、現在も3つの先住民族が、「居留地」とよばれる地域で暮らしています。
その歴史は極めて深刻でしたが、現在は先住民族の方々の、信仰を含むカルチャーは、尊重され、守られています。
詳しくはこちらの、eTAのホームページで、わかりやすく解説されていますので、ご興味のある方はご一読ください。
カナダは、現在、イギリス連邦加盟国で、公用語は英語とフランス語です。
人種の比率としても、ヨーロッパ系が70%以上を占めています。
英仏の植民地連合体として始まり、1931年のウエストミンスター憲章で独立国家と正式に承認され、1982年の憲法制定によって、政治体制が確立されました。
歴史的背景もあり、北アメリカ大陸にありながら、ヨーロッパの雰囲気が色濃く、先住民族や、他国からの移民者も多いので、さまざまな文化がミックスされて、多様性を尊重する、独自の趣を創りだしています。
出典:外務省ホームページ
eTA online center CANADA Electric Travel Authorization ホームページ
ウィキペディア「カナダ」
populationpyramid.net「カナダ」
カナダのヴィーガン事情、動向はいまどうなっている?
カナダは世界的に見てもヴィーガン人口が多い国
カナダは2018年、世界ヴィーガンランキングで5位、2020年には9位となり、世界でもヴィーガン人口が多い国だと言えます。
2018年、ダウハルジー大学の研究者たちの調査内容によると、カナダ人のうち、85万人がヴィーガンであると自認しています。
そして、カナダにおけるベジタリアン、ヴィーガンの大多数は、35歳以下の若年層であることもわかりました。
これは、今後カナダの食のムーブメントは、よりベジタリアン、ヴィーガンに向かっていくことを示唆していることが予想されます。
カナダ国内では、バンクーバーが最もヴィーガンフレンドリーな都市です。
多くの人がヴィーガンを選択するようになり、それに伴い、ヴィーガン店も増加しています。
バンクーバーは、1969年、環境保護団体グリーンピースが設立された地でもあります。
環境への意識が高い地域であることも、ヴィーガンが多いひとつの要因かもしれませんね。
バンクーバー市のホームページには、「環境的、社会的、経済的に持続可能な食料システムの構築に努めています」と書かれており、サステナビリティに注力していることがうかがえます。
出典:Veg FAQ- 初心者のためのヴィーガンリソース「カナダには何人のヴィーガンがいますか?[2020年調査]」
CTV News「300万人以上のカナダ人 ベジタリアンまたはヴィーガン」
CITY OF VANQOUVER「食べ物」
参考:バンクーバーのヴィーガン事情 | GoToVan | カナダ バンクーバーの情報サイト
他国からの影響も上手に取り入れて、広まりを見せるヴィーガン文化
また、カナダはイギリス領であった背景から、ヴィーガン発祥の地であるイギリスの、ヴィーガニズムが根付くのは、自然の流れとも言えます。
また、ヴィーガンランキング世界第1位のアメリカ合衆国と陸続きであり、その影響も少なくありません。
一例として、アメリカに本社を置く、ホールフーズが進出。現在、カナダ国内には14店舗が展開されています。
ホールフーズと言えば、「可能な限り、加工されていない、ピュアな食品」を取り扱うスーパーです。
オーガニックやプラントベース食品など、ヴィーガンの方にも安心して利用できる製品が多く取り揃えられています。
カナダ政府もヴィーガンを推奨?「カナダの食べ物ガイド」が興味深い

カナダ政府公式サイトのなかの、「カナダの食べ物ガイド」には、大変興味深い内容が記載されています。
注目は、たんぱく質の必要性を解説するページです。そこには、以下のように記されています。

政府が、積極的に、たんぱく質は植物性のものにしていきましょう、とアナウンスしています。
このように、カナダは、国をあげて、植物性食品へのシフトを推奨しています。
出典、引用:カナダ政府ホームページ「カナダの食べ物ガイド」
カナダグースもヴィーガンに?リアルファーをやめた理由
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毎年、寒くなってくると、街でもよく見かけるのが、ダウンジャケットやファーアイテムですね。
カナダグースは、トロントで生まれた、ダウンジャケットをはじめ、ファーやウールを使用した、高級アパレルブランドです。
高級ダウンウェアブームで、私たちの知るところとなりましたが、その実力は、ファッションアイテムとしてだけではありません。
極寒の地でも優れた保温性を発揮し、登山家や、極寒の地を行く冒険家など、厳しい寒さのなかで活動するプロフェッショナル達からの信頼も厚い製品です。
また、カナダグースのダウンジャケットと言えば、フードについた、ボリュームたっぷりのファーでした。
世界中に事業展開するとともに、そのアイコン的なファーは、ファッションとしても人気を博しました。
しかし、2021年6月、カナダグースは、2022年末までに、この毛皮を使用した製品の製造を停止することを発表しました。
カナダグースのパーカについたファーの大部分には、野生のコヨーテの毛皮を使用していました。
このコヨーテの毛皮を得るために、罠にかけて殺していることに対し、アメリカの動物愛護団体であるPETAが、幾度となく、カナダグースに使用を停止するよう求めていました。
そのためであるかの真偽は不明ですが、カナダグースはほかにも、羽毛やウールの仕入れや使用に関しても、厳格なルール、基準を守ることをオープンにしています。
羽毛に関しては、「The Canada Goose Down Transparency Standard™(カナダグースのダウンに関する透明性基準)」という基準により、「IDFL Laboratory and Institute(国際羽毛試験監査機関)」による第三者監査プログラムにより、基準が守られているかを管理しています。
また、羽毛は、ダウン製品のために飼育されたものでなく、食肉として飼育されたものから得る、としています。
ウールに関しても同様に、仕入れ先に対しても明確な基準を設け、使用しています。
羊の毛を刈り取る際には、皮膚や肉などを切り取るような方法ではなく、羊に不当な痛みや苦痛を強いる刈り取りをしていないものを仕入れています。
カナダグースは、ファーを身に着けることに関して、賛否あることも理解し、その考えを尊重している、とも述べています。
リアルファーの使用をやめたカナダグース。
ファーやダウンを使用せずとも、高機能な素材が続々と開発されている時代です。
厳しい寒さの中で生まれたカナダグースが踏み出した、ヴィーガンウェアへの第一歩は、非常に大きいと言えるでしょう。
参考記事:ハッピーキヌアヴィーガンメディア「カナダグースもアニマルファー使用停止に!ファーを取り巻く世界情勢をご紹介」
出典:PETA ホームページ
CANADA GOOSE ホームページ
CANADA GOOSE インスタグラム
カナダの代表的なヴィーガンフードブランド、ヴィーガン店5選
1. Vegan Pudding & Co.(ヴィーガンプディング アンド コー)
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バンクーバーにある、小さくてかわいいお店のこちらは、その名のとおり、ヴィーガンプリンを作り、販売しています。
日本人のご夫婦が世界を旅する中でバンクーバーにたどり着き、この地でプリンのお店をオープンさせました。
100%ヴィーガン、100%オーガニック、グルテンフリー。白砂糖も不使用です。
ヴィーガンプディングアンドコーのプリンは、当初はケータリング販売をしていました。
次第に、人気がさらなる人気を呼び、「幻のプリン」と呼ばれるまでに。
満を持して、お店をオープンし、今年7周年を迎えました。
オリジナルバニラから、ほうじ茶、アールグレイティーなど、どれにしようか迷ってしまうほど、味の種類も豊富です。
ホームページには現在、9種類のフレーバーが掲載されています。
どれもコクがあり、クリーミーで、しっかりとした味のプリンに、ソースをかけていただくスタイル。
よりいっそう、その風味をしっかりと感じられます。
バンクーバーに行かずとも、東京をはじめ、日本にも販売店がありますので、ご興味のある方はぜひ一度、お試しください。
Vegan Pudding & Co. ホームページ
Vegan Pudding & Co. インスタグラム
【店舗情報】
住所:422 Richards St, Vancouver, BC V6B 2Z4
営業時間:月~土 12:00-17:00
定休日:日
日本での店舗、提携販売しているお店は、こちらからご確認ください。
Vegan Pudding & Co. については、こちらの記事に詳しく解説しています。併せてチェックしてみてください。
2.Komo(コモ)
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2021年にスタートした、100%プラントベースのブランド、Komo(コモ)は、スーパーマーケットなどで気軽に購入でき、簡単な調理ですぐに食べられるところが魅力です。
プラントベースの食事を良いものとし、すべての家庭において、夕食の食卓に並ぶことを使命としています。
商品のラインナップも、ラザニアやパスタソース、パイなど、お子様から大人まで、家族とディナーで食べられるものが揃っています。
さらには、「Komo EATS」として、バンクーバー市内であれば、オンラインデリバリーサービスを利用し、できたてのコモのメニューをいただけるようにもなりました。
バンクーバーにお住いの方はもちろん、旅行時のホテル滞在中に、ちょっと何か食べたいときにも、必要以上の会話をすることもなく、気軽に利用できるのは便利ですね。
Komo ホームページ
Komo インスタグラム
Komo EATS
3. VEGAN CAVE(ヴィーガンケイヴ)
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カナダの中でも、ヴィーガン人口が多いバンクーバー。
アボット・ストリートと、イースト・ヘイスティングス・ストリートが交差する場所にあるのが、VEGAN CAVE(ヴィーガンケイヴ)です。
オリジナルのヴィーガンピザは、プラントベースとは信じがたいほど。色彩豊かなトッピングは、写真映えも間違いなしです。
サラダ、パスタ、デザートまで、幅広いメニューが揃っていますので、どんな時間帯に行っても、満足できるでしょう。
また、ヴィーガンなだけではなく、パレオ食、ケトジェニック食にも対応したメニューを揃えていますので、どんな食事スタイルの方と一緒でも楽しめるのも嬉しいですね。
さらには、お店で提供するメニューはすべて、100%グルテンフリー、GMOフリー、無添加、精製された砂糖不使用です。
VEGAN CAVE ホームページ
VEGAN CAVE インスタグラム
【店舗情報】
住所:415 Abbott St,Vancouver,BC V6B 1R3
電話:+1 604-423-4211
営業時間:月~金 11:00-23:00 / 土 12:00-23:00 / 日 16:00-22:00
※ホームページの情報です。インスタグラム、グーグルマップそれぞれに、記載されている営業時間が異なります。お電話や、メッセージなどでお問い合わせの上、ご来店されるのをおすすめします。
4. The Workshop Vegetarian Cafe(ワークショップベジタリアンカフェ)
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The Workshop Vegetarian Cafe(ワークショップベジタリアンカフェ)も、バンクーバーにあるヴィーガンカフェレストランです。
オーガニック、地元産の、ナチュラルで質の良い食材を使用しています。
こちらの特長は、うどんや餅、バーガーにはテリヤキソースを使用するなど、日本の食事にインスパイアされているところです。
お食事はもちろんのこと、焼き菓子などのスイーツもラインナップされています。
さらに注目すべきは、こちらのお店は、カフェでお食事を楽しむだけではないところです。
店舗の隣に製造工場を持ち、そこで、自社ブランドの商品を製造しています。
商品は、店舗やオンライン、バンクーバー近郊のスーパーマーケットや小売店などで購入できるのです。
お店でオーダーしたフードが気に入ったら、その製品を購入して、今度は家で、家族や友人と、おいしさをシェアするのもいいですね。
The Workshop Vegetarian Cafe ホームページ
The Workshop Vegetarian Cafe インスタグラム
【店舗情報】
住所:296 Pemberton Ave,North Vancouver,BC V7P 2R5
営業時間:月~金 11:00-18:00
定休日:土、日
5. Padmanadi(パドマナディ)
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バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州の隣、アルバータ州の州都・エドモントン。
ここで、インドネシアを中心とした、プラントベースの東南アジア料理をいただけるレストランです。
今年でなんと20周年を迎えようとしている、この地域ではポピュラーで、かつ、愛されているお店です。
2021年、クリスピーレタスラップというメニューが、「Taste of Edmonton」という、エドモントンのレストランのなかで、もっともおいしい料理であるという賞を受賞。
さらに、エドモントン市内のおいしいベジタリアンレストランはどこかを決める投票で、プラチナム(第1位)を獲得しています。
味もメニューも申し分ないことがわかりますね。
きれいに整えらえたインテリアで、お店の雰囲気も良く、お値段も手ごろです。
Padmanadi ホームページ
Padmanadi インスタグラム
【店舗情報】
住所:6925 Gateway Blvd NW #106, Edmonton, AB T6H 2J1
営業時間:11:00-20:30
定休日:記載なし
まとめ
大自然に恵まれ、高層ビル群や観光都市など、さまざまな魅力を持つカナダ。
「健康のため」と、政府がヴィーガン食を推奨していること、自分はヴィーガンであると自認する人が増えていることから、スーパーなどで、ヴィーガンフードを気軽に手に取ることができます。
そしてそれは、都市部ほど浸透していることが窺えました。
一方で、動物の尊厳を守るため、ファーの不使用を決めたカナダグース。
カナダのヴィーガン事情、活動を通して、ヴィーガンであるということは、動物を守り、環境を守り、健康を守ることであるのだと、改めて気づかされますね。