ヴィーガンの菌類由来タンパク質とは?植物由来タンパク質との違いも徹底解説
代替肉の市場が拡大する中、各社がしのぎを削って菌類由来の食品を開発しています。商品のラインアップや栄養面だけではないメリットをご紹介します。
MyBeacon®(マイベーコン)
アメリカのMyForest Foodsが開発したのが、MyBeacon®(マイベーコン)です。キノコの根に相当する糸状の菌の集合体である菌糸体を発酵させて作られています。見た目も肉のベーコンにそっくりです。
原材料はキノコの菌糸体、塩、ココナッツオイル、砂糖、天然香料、ビートジュース濃縮物(着色料)。すべて植物性でできていてるヴィーガン対応の食品です。
MyBeacon®2枚(15グラム)のタンパク質量は3グラムと、動物肉に相当する栄養があります。
アメリカのニューヨーク州とマサチューセッツ州にある3店舗で販売しています。
Fy™(ファイ)
Fy™(ファイ)は、アメリカのNature’s Fyndが開発した菌類由来の食品です。イエローストーン国立公園の熱水泉に生息する微生物を使用して作られています。
この菌はフザリウム・フラボラピスと呼ばれており、発酵させることにより筋肉繊維のような層を形成。これを固形や液体、粉末にして食品に加工します。
現在、パテとクリームチーズを展開中。パテの原材料はFy Protein™ (栄養菌タンパク質)、水、高オレインヒマワリ油など。クリームチーズは、Fy™ ミルク (水、栄養菌タンパク質)、ココナッツ オイル、きび砂糖などで、いずれもヴィーガンに対応しています。
栄養面では、パテ2枚(70グラム)中のタンパク質量は11グラムと高タンパクです。
アメリカの4つのスーパーで販売されています。
植物由来タンパク質との違い
菌由来のタンパク質の商品を具体的に見てきましたが、植物由来のタンパク質との違いは何でしょうか。
菌由来のタンパク質の量は、他の植物性の食品と同等か、もしくはより多く含まれています。そのため、菌由来のタンパク質は、より優秀な食品と言えるでしょう。
しかし、植物由来のタンパク質との一番の違いは、地球環境の保護と持続可能な食を提供することにあります。
世界の人口が増加するのに伴い、食料不足が懸念されています。しかし、それを補うために、餌となる多くの穀物と土地、水を必要とする動物の肉を増産するのは効率的ではありません。
そこで大豆などの植物性タンパク質に注目が集まっていますが、畜産に比べて土地や水の使用は必要ないものの、収穫するまでは数カ月を要します。
一方、菌類由来のタンパク質は、土地や水を植物ほど使わないことや、生産するのに十数時間しかかからないのがメリットです。
また、工場でつくられるため、季節に左右されず短時間でできるのが、植物由来タンパク質との大きな違いであり、強みでもあるでしょう。
菌類由来の食品の今後は
菌類由来の食品はタンパク質が豊富なだけでなく、食物繊維も含まれているため、栄養的に優れた代替肉として食べられています。
近年ヨーロッパやアメリカで需要が伸び続け、今後ますます注目される食品になるでしょう。
そして、持続可能な食料供給を考えたとき、菌由来の食品は大豆などの植物性の食品よりも、より環境にやさしく、そして効率的に生産できる点がメリットです。
環境問題にも貢献する食料として大きな役割を果たしていくでしょう。
日本では販売されていませんが、もし将来的に導入されれば、大豆ミートに続くブームになることもあるかもしれません。今後の動きを注視したいですね。
合わせて読みたい