ヴィーガンは動物園に否定的なのか?様々な角度の意見を深掘りして考察
動物と触れ合える動物園。動物を檻に閉じ込めるのは動物にとってストレスになりかねない反面、動物の保護や研究、教育の役割を果たしている部分もあります。では、ヴィーガンは動物園に否定的なのでしょうか?動物園に対する肯定的・否定的な意見両方から深掘りしていきます。
では、ヴィーガンは動物園に対して否定的なのでしょうか。
この記事では、動物園に対する肯定的な意見、否定的な意見両方の意見を参考に深掘りして考察していきます。
目次
ヴィーガンの動物に関する考え方
まず、ヴィーガンの動物に対する考え方を簡単ご紹介します。
ヴィーガンと一言で言っても、その動機は人によってそれぞれ。自分自身の健康が同期の人もいれば、環境保全のため、動物保護のためにヴィーガンを実践する人もいます。
ただ、そもそもヴィーガンは「動物の搾取や虐待を可能な限り避けるべきである」という思想から生まれた概念です。
初めてヴィーガンを提唱した英国のThe Vegan Societyによると、
「食物、衣服、またはその他の目的のために動物を搾取し、動物を虐待するすべての形態を可能な限り、実行可能な限り排除しようとする哲学と生き方です。」
出典:Definition of veganism – The Vegan Society
と定義されています。
食はもちろん、動物実験や動物由来の成分を含む商品の購入や使用、娯楽のための動物の利用ヴィーガン主義に反します。
動物園も「娯楽のための動物の利用」に該当しますが、動物園に関しては様々な意見があります。
動物園に対する肯定的な意見
では、「動物園はヴィーガンフレンドリーである」とする肯定的な意見から見ていきましょう。
動物園は保護と教育の場になるという意見
動物園に肯定的な意見として、「動物園は動物への関心を育み、保護と教育の場になる」という意見があります。
動物について学び、自分たち人間と同じ生き物であるということを知るきっかけに動物園がなるという考えです。
そうすることで人の動物に対する考え方やライフスタイルを変えるきっかけ、それこそ最終的にヴィーガンを選択するきっかけを与える可能性も考えられます。
全ての動物が動物園という環境に適しているわけではありませんし、利益ばかりを優先して動物の権利や飼育環境を疎かにしている動物園も少なくありません。
しかし、そうでない動物園では現代の方舟として動物の居場所を与えることができると考えられています。
また、絶滅危惧種を野生に戻すためのプロジェクトや繁殖プログラムを実施している保護動物園もあります。
保全プログラムを実施している動物園は絶滅危惧種の保護において重要な役割を果たし、このような動物園を訪れることは、保護活動に資金を提供することにもつながります。
動物園に肯定的な人たちは、動物と私たち人間との関係は娯楽や残酷さを含むものではなく、1っ種の観察と学習であると主張しています。
動物園に対する否定的な意見
次に、動物園に対する否定的な意見を見ていきましょう。
人間の利益や好奇心のために動物を捕獲して檻に入れる権利はないという意見
動物園に反対的な意見として、ある程度の教育になったとしても、人間が動物を捕獲して檻に閉じ込めておく権利はないという主張があります。
私たちは動物や野生生物についてさまざまな方法で学ぶことができます。飼育下の動物は自然環境から外れていることも少なくありません。
動物を理解するには、動物園よりもテレビやインターネットの方がはるかに良い情報源であるとの意見もあります。
実際、ガイドもなく動物園を訪れた結果、生物多様性に関する知識が向上した来園者はわずか3分の1程度で、動物園ではなく学校で学んだ方が知識の向上が見られたとの研究結果が出たそう。
そのため、人間の教育のために動物園で動物を飼う必要はないのではないかとの意見も多く見られます。
保護活動に取り組む動物園でさえ、動物のために十分な大きさのスペースを提供する余裕がなく、飼育かの動物にストレスがかかってしまうことも。
ライオンのような大型のネコ科動物が、檻の中でウロウロと前後する様子を見たことはないしょうか。
これは「反復行動」と呼ばれ、何もない小さな囲いの中どうにかして気を紛らわそうとしていると考えられています。
日本の動物園も、動物福祉・動物の権利への取り組みが不十分だと海外から批判を受けることも少なくありません。
絶滅防止・種の保存に役立つとしても、動物を人間のための利益や知的好奇心を満たすために捕獲し続ける権利があると仮定することは、依然として種差別主義者であるとの見方もあります。