水が枯渇する? 世界中で問題視されている、水資源の危機について徹底解説
地球上の全ての生物は「水」がなければ暮らしていけません。しかし、ここ数十年、経済の発展とともに急激な環境汚染が進み、自然環境や生態系が破壊されています。さらに、地球温暖化による気候変動や世界人口の増加により、安全な水資源の確保や水不足が懸念されています。貴重な水資源を守るために、私たちは今、何をすればよいのでしょうか。
それもそのはず、地球は表面の約7割が海におおわれています。すなわち、地球の青く見えている部分は海なのです。
地球上には、海の他にも河川や湖、さらには地下水などの水資源が存在していますが、近年、世界各国では、環境汚染や気候変動などによる水資源の危機が問題となっています。
別名「水の惑星」ともよばれるほど水におおわれている地球ですが、なぜ水の枯渇が起きると考えられているのでしょうか?
今回は、世界で取りざたされている水資源の問題について、これから皆さんに解説させていただきます。
地球上にある水の割合とは
国土交通省の資料によりますと、地球全体には、およそ14億km3もの水が存在していますが、実にそのうちの97.5%が海水で、淡水(真水)の割合は2.5%ほどしかありません。
さらに、この淡水の中には氷河や氷雪なども含まれているため、実際に私たち人間が利用できる水の割合はさらに少なくなり、地球上の水全体の0.02%ほどです。
また、疾病対策予防センターの調査では、水道の蛇口をひねるだけで安全な水が飲める国は、世界の国々の中でも日本を含めてわずか15ヵ国だけという結果が出ています。
世界中で起きている水資源の危機と原因
島国で、さらに水資源も豊富にある日本で暮らす私たちにとっては「安全な水が飲めるのは当たり前のこと」ですし、深刻な水不足に悩まされることもほとんどありません。
しかし、国境を超えて複数の国々を流れる大きな河川沿いでは、貴重な資源である水の所有権や河川上流の水質汚濁をめぐって、昔から国同士の紛争や対立が絶えません。
河川の上流にある国での水需要が多くなったため、下流にある国の水が枯渇し始めるなど、実際に問題が起きています。
現在でも、アフリカや中東諸国を中心に、世界中で約12億人の人々が慢性的な水不足にストレスを感じて生活しているといわれていますが、今後、環境汚染による地球温暖化や世界人口の増加により、水資源の状況がさらに悪化していくことも懸念されています。
気候変動
近年、地球温暖化などによって引き起こされた気候の変動により、水源地である山や森に雪が降らなくなり、その結果、河川や井戸が干上がってしまったなど、水が枯渇してしまうというケースが世界各地で多発しているようです。
また、地球の温暖化によって大気中の水蒸気量が増えた場合には、ゲリラ豪雨の被害や逆に深刻な水不足に見舞われる可能性が高くなります。
さらに、このまま気候の変動が進めば、もともと降水量が多い地域ではさらに多く、アフリカなどの乾燥地域では、ほとんど雨が降らなくなるため、水害や渇水、大地の砂漠化などがさらに進んでいくことでしょう。
現に、アマゾンなどの熱帯雨林では、大西洋の海水温上昇に伴って海流が活発化しているため、熱帯雨林への雲の流れが弱くなり、降水量が少なくなっており、このままでは大地が乾燥化してしまうといわれています。
このように、地球温暖化は生態系だけでなく、私たち人間を取り巻く自然環境や水資源にも大きな影響を与えているのです。
世界人口の増加
日本では、少子高齢化が問題になっていますが、世界の人口は増加傾向にあります。
2000年に60億人を超えた世界の人口は、2050年には97億人に達すると国連が予測しています。
人口が増えるということは、水の需要も増加するため、現在よりも多くの水や水資源を確保する必要が出てきます。
しかし、現在でも世界の人口60億人のうちの12億人が「安全な水」を飲むことが困難な状況下に置かれています。
このままでは、2050年に世界の人口約97億人のうち約40%にあたる39億人が深刻な水不足に見舞われるなど、水の供給が追いつかなくなる可能性があることが予測されています。
世界中の貴重な水資源を守り、皆が安全な水を飲むことができるように、私たちが今できることを考えてみませんか。