薬膳と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
「中国の料理」「薬を用いた料理」「健康に良さそうなもの」など、人により様々な印象をもたれているかもしれません。
本記事では、薬膳の説明から、ヴィーガンの方も楽しめる、春を元気に過ごすための薬膳料理を、レシピと共にご紹介いたします。
健康なヴィーガン生活に興味がある方、ぜひご覧ください。
薬膳とは?
薬膳とは、「東洋医学の理論に基づいて作る健康料理」を指します。
“東洋医学に基づく料理”と聞くと難しい印象を受けるかもしれませんが、実は誰しもが実践しやすい一面も持ち合わせています。
薬膳を、親しみやすい言葉で言い換えるならば、「旬の食材を活かしながら、体質や体調に合わせてつくる料理」。百人百様である体質に合わせた食材を鑑みて摂ることで、健康に導いてくれるものなのです。
押さえておきたいポイント!薬膳と四季。
皆さんは、季節を取り入れた食事を意識していますでしょうか?
薬膳では、四季を取り入れた食事を重宝しています。
その理由は、東洋医学では、人間のからだには季節が巡っていると考えられ、季節に応じた変化が起こるためです。その季節ごとに変化する環境へ上手に適応するには、普段なにを食べるかが大きく影響してきます。
季節の変わり目や、決まった時期に体調を崩す方は、季節を考慮した食生活を意識すると、心身共に元気に過ごせるようになるかもしれません。
春を穏やかに過ごす!薬膳的ポイント
冬に蓄えられたエネルギーが外へ発散される、陽気な季節「春」。
暖かくなる気候につられ、活動的になる一方、「だるさ、肩こり、イライラ、頭痛」などの症状が出やすい季節でもあります。
これらの症状を抑え、春を元気に過ごすには、
- 春にダメージを受けやすい「肝臓」の働きを良くする食品をとる
- 旬の苦みの山菜や野菜をとり、新陳代謝をあげる
- 便秘改善に良い食品をとる
- 粘膜に潤いを与える食品をとる
この4つのポイントが重要になります。
これらの効果がある、春におすすめの食材を詳しく見ていきます。
【肝臓の働きをよくする食材】
セリ、にら、セロリ、いちご、レモン、クコの実、など。
【新陳代謝をあげる旬の食材】
春キャベツ、チンゲンサイ、うど、ふきのとう、菜の花、タラの芽、金針菜、など。
【便秘改善に良い食材】
キャベツ、りんご、ごま、わかめ、ヨーグルト、白きくらげ、松の実、など。
【粘膜に潤いを与える食材】
大根、れんこん、紫蘇、はちみつ、白きくらげ、など。
このように薬膳は、手軽に購入できる食材も多く用います。次の章では、スーパーでも購入できる食材で、初心者でも簡単に作れるヴィーガン対応の薬膳レシピをご紹介します。
筆者が作った写真も掲載させていただきます!
ヴィーガン対応の薬膳レシピ
1. クコの実のにんじんラぺ
【材料】
- にんじん 1本(150g)
- クコの実 30粒ほど
- きび砂糖★ 小さじ1
- レモン汁★ 大さじ1
- 塩★ 小さじ4分の1
- ブラックペーパー★ 少々
【作り方】
- クコの実を水で戻す。(5分程度)※歯ごたえがあるのが好きな方は、水で戻さずそのままでも。芯が残るのが嫌な方は、20分程しっかり水で戻す。
- にんじんをスライサーで薄切りにし、その後、千切りにする。
- 千切りにしたにんじんを塩でもみ、10分程してしんなりしたら、水洗いし、絞る。
- 調味料★とにんじん、クコの実を全て混ぜ合わせる。
【薬膳的ポイント・クコの実】
クコの実は、ビタミンB群・Cや、鉄、マグネシウム、亜鉛など15種類以上のミネラルを豊富に含みます。効能として、疲労、無気力、頭痛、目の疲労などの回復などがあり、また春にダメージを受けやすい、肝臓の働きを高める作用もあります。
【出典】にんじんとクコの実のラペ by 柴田真希 | レシピサイト Nadia | ナディア – プロの料理家のおいしいレシピ
2. セリと豆鼓炒め
【材料】
- セリ 一束
- 豆鼓 大さじ1と2分の1
- 醤油 大さじ1
- 酒 大さじ
- ごま油 大さじ1
【作り方】
- セリを2㎝ほどに切る。
- フライパンにごま油をしき、セリの表面の緑が鮮やかになるまで炒める。
- 豆鼓と、調味料★を入れ、軽く火を通し、完成。
【薬膳的ポイント・セリ】
βカロテン、ビタミンC、ミネラルなどが豊富に含まれているセリ。老化防止効果や、お肌に潤いを与えてくれます。また、体に溜まった湿気を尿として排出し、体内にこもりがちな熱をとる効果も。イライラしがちな方におすすめの食品です。
【薬膳的ポイント・豆鼓】
マメ科の大豆の種子を発酵させた、納豆の類である、豆鼓。脂質、たんぱく質、糖質、ビタミンB群を含み、整腸作用、発汗、解熱、解毒作用があります。
3. 大根と松の実炒め
【材料】
- 大根(普通サイズ半分)
- 大根の葉(一本分)
- 松の実
- ごま
- ★みりん 大1
- ★酒 大1
- ★しょうゆ 小さじ2
- ★塩 少々
【作り方】
- 大根の葉を細かく刻む。
- 大根を1㎝角の正方形ほどの大きさに切る。
- フライパンにごま油をしき、松の実と大根を入れ、きつね色になるまで炒める。
- 大根の葉と、調味料★を加え、葉がしんなりするまで炒める。
- ごまをふり完成。
【薬膳的ポイント・大根】
粘膜に潤いを与える大根。喉の痛み改善にも用いられます。大根の葉は、本体よりも、ビタミン、ミネラルが豊富。葉の持つ独特な苦みが、ご飯との相性抜群です。苦みを和らげたい方は、葉を湯通ししてからの調理をおすすめします。
【薬膳的ポイント・松の実】
不老長寿の仙人食とも言われる松の実は、ビタミンB1・Eが豊富で、疲労回復、から咳、頭痛、便秘などに効果があります。
4. 春キャベツと白きくらげのお味噌汁
【材料】
- 春キャベツ 4分の1
- 白きくらげ 10g
- だし汁 800ml
- 味噌 大さじ3(お好みで)
- 塩 少々
【作り方】
- 白きくらげを水で戻す(15分~20分程度)
- 春キャベツを食べやすい大きさに、ざく切りする。
- 温めただし汁に、キャベツ、白きくらげを入れ、しんなりさせる。
- 火を止め、塩、味噌で味を調整し、完成。
【薬膳的ポイント・春キャベツ】
新陳代謝を高める、旬の野菜、春キャベツ。消化器官を助け、パワーを補う食材でもあります。ビタミンA・C・Uや、ミネラル・食物繊維を多く含むのが特徴です。
【薬膳的ポイント・白きくらげ】
ビタミンD、カルシウム・マグネシウム・鉄などのミネラルを含む白きくらげ。お通じを良くする他、のどの痛みや、美肌にも有効です。
5. 菜の花の白和え
【材料】
- 菜の花一束
- にんじん 中1本
- しめじ 一房
- 木綿豆腐 一丁
- ごま 大さじ2
- ★出汁100ml
- ★みりん 大さじ1
- ★しょうゆ 大さじ1
- ☆みりん 大さじ2(ここでのみりんは、煮きっておくとアルコール臭さが無くなります。)
- ☆しょうゆ 大さじ1
- ☆味噌 大さじ1
- ☆塩 少々
【作り方】
- (事前準備)※木綿豆腐を水切りしておく。※ごまをすり鉢で、すりつぶしておく。
- にんじんを細切りにし、★の調味料と共に、出汁がなくなるまで煮る。
- 菜の花を3㎝幅ほどにざく切りし、沸騰したお湯で1分ほど茹で、水気を絞る。
- しめじは、石づきを落とし、ほぐした後、沸騰したお湯で1分程茹でる。
- フードプロセッサーに、水切りした豆腐を入れ、☆の調味料と共に、すりつぶしたごまを入れ、混ぜる。※フードプロセッサーがない場合は、裏ごし器を使用して、豆腐を裏ごしし、調味料を混ぜても出来ます。
- 豆腐、にんじん、しめじ、菜の花を混ぜ合わせ完成。
【薬膳的ポイント・菜の花】
βカロテン、ビタミンC、ミネラルを始め、葉酸、鉄分など、不足しがちな栄養素も野菜の中でトップクラスの含有量を誇る菜の花。血の巡りを良くし、デトックス作用があるので、むくみにお悩みの方にもおすすめです。
まとめ
薬膳について興味を持っていただけましたでしょうか?
本来の薬膳では、動物性食品も使用しますが、植物性食品だけでも、十分と薬膳の効果を得ることは出来ます。
季節の食材を楽しみながら、ぜひヴィーガン薬膳メニューに挑戦してみてください。
【参考】ハッピーキヌアの過去の記事、ヴィーガン料理についての記事も併せてご覧ください。