CO2からできたウォッカとは?お酒にまつわる驚きのサステナブル技術をご紹介
酒造の分野にエコな製品が登場しています。 CO2を吸収する「ウォッカ」が注目を集めているのです。
エアーウォッカの製造方法
エアーウォッカは、水と二酸化炭素だけで作られています。そのほかの材料は使用せず、不純物を一切含有していないことも大きな特徴です。
具体的には以下のプロセスをたどります。
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- 近辺の工場で排出される二酸化炭素を回収する
- 二酸化炭素を酸素と炭素に分解し、炭素を水と混ぜる
- 金属触媒により、純粋なアルコールの生成
- 蒸留、純化によりアルコール度数を高める
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まず、周辺で発生する小型の太陽光発電装置を利用し、吸収します。
その後、二酸化炭素(CO2)を炭素(C)と酸素(O2)に分け、炭素のみを水に溶かします。その後、炭素が溶けた水を銅をベースにした触媒に触れさせることで、純粋なアルコールに代わります。
最後に、蒸留・精製を経て、独自の技術によりアルコール度数40%のウォッカになるとのことです。
この一連の製造過程で発生するのは酸素のみであり、二酸化炭素は発生しません。
製造方法について、Air.CoのCEOであるグレゴリー・コンスタンティンは、「二酸化炭素を吸収し酸素を放出する、植物ヒントにした」語っています。
エアーウォッカの味は?
では、エアーウォッカはどのような味わいなのでしょうか?
歴史あるワイン・ビール・スピリタスレビューサイト「WineEnthusiast」は以下のようなレビューを投稿しています。
“エアーウォッカは、二酸化炭素と水だけから蒸留された真に革新的なウォッカです。味わいは、ほのかにフローラルな香りと驚くほど重厚な感触。全体的にニュートラルで、バニラとグラファイトの微妙な香りを感じることができます”
そのほか、エアウォッカは水と空気だけで作られているため、純粋でまざりっけのない味わいだと感じる人が多いようです。
米や麦などの発酵穀物を使用しておらず、不純物が入らないためでしょう。
もともとスピリッツはアルコール度数が高くクセのない味わいですが、それよりもさらに洗練された純粋な味とのこと。
ロックで飲むのがおすすめですが、マティーニのような香りづけをする飲み方にも合うようです。
「Air.Co」のそのほかの取り組み
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アルコールは、お酒のみならずあらゆる分野で利用される物質。
「Air.Co」は、従来の製法のアルコールから、CO2吸収するアルコールに置き換えることで、多くのCO2削減が目指せると考えています。
現在「Air.Co」は、以下のような製品を開発・販売しています。
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- 香水・消毒液
- ロケット燃料
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手近なところでいえば、香水、消毒液です。
どちらもエタノールを使用する製品ですが、その多くは発酵によって作られるエタノールであり、製造時に二酸化炭素を放出します。
特に消毒液が多く使われている昨今において、CO2の削減可能な「Air.Co」のエタノールに代わっていけば大きな効果があることでしょう。
さらに、Air.Coでは、火星へ移住するためのロケット燃料も開発しています。
同社のエタノールを使ったバイオ燃料を、ロケットの飛行に活用するという形です。
CO2をエタノール燃料に変えれば、大気を汚染しません。
さらに、ありふれた材料であることから、どこでも燃料を作ることが可能なのも利点です。
まとめ
ニューヨークのスタートアップ「Air Co.」の作るエアーウォッカは、製造時にCO2を排出しないサステナブルなウォッカです。
「カーボンニュートラル」より一歩進んだ「カーボンネガティブ」なウォッカで、かなりエコなお酒と言えるでしょう。
また、Air.Coは独自のエタノールを、香水・消毒液、果てはロケットの燃料など、様々な用途への応用を考えています。
Air.Coのクレドは「Transforming CO2 into products for the future(二酸化炭素を未来のための製品へ)」と語っています。
Air.Coはまさに、地球の空気を変える可能性のある未来的な企業です。