将来のパンデミックを防ぐために、現在の食習慣を見直さなければならない理由
新型コロナウィルスのパンデミック。世界がガラッとゆすぶられ、考え方や仕事の仕方が変わっただけでなく、多くの人が食べ方について見直すきっかけにもなりました。これを受けて、ますますヴィーガン・ベジタリアンのトレンドが加速しています。パンデミックとヴィーガン・ベジタリアンのトレンドの関連性をご紹介していきます。
ヴィーガン・ベジタリアントレンドは、多くの先進国で着実に進んでいます。プラントベース先進国については、こちらの記事でもご紹介しています。
出遅れ感の否めない日本であっても、最近は普通のスーパーでもヴィーガンチーズのコーナーが充実してきていたり、「畑のお肉」のような代替食材が手軽に買えるようになってきました。
少しずつ世界が変わってきつつあったところで、発生した新型コロナウィルスのパンデミック。
世界がガラッとゆすぶられ、考え方や仕事の仕方が変わっただけでなく、多くの人が食べ方についても見直しをかけました。
これを受けて、ますますヴィーガン・ベジタリアンのトレンドが加速しています。
この記事では、パンデミックとヴィーガン・ベジタリアンのトレンドの関連性をご紹介していきます。
このメディアを読んでくださっている方は、すでにヴィーガン・ベジタリアンに興味がある方が多いかと思いますが、改めて食生活の見直しをしよう!と考えるキッカケになれば幸いです。
目次
パンデミックと動物を食べることは関係しているの?
そもそもなぜパンデミックを受けて、多くの人が肉を食べるのをやめる方向に向かっているのでしょうか。
改めて、疫病の発生と動物を食べることの繋がりを紐解いてみましょう。
新型コロナウィルスの始まりは肉食が原因?
やっとマスク生活も終わり、少しずつ日常が戻ってきたタイミングではありますが、世界を揺るがせた新型コロナウイルスはいったいどこから来たのでしょうか。
最初のころに「コウモリ」という話が流れていたのを覚えていますでしょうか。
最初の出どころは確実ではありませんが、ゲノム解析によると人がセンザンコウを食べたことから始まったのではという説が濃厚です。
厳密に言うと、「コロナウィルスをもったコウモリを食べたセンザンコウ」を、人間が摂取したことが由来ではないかというのです。
私たちには馴染みのない動物ですが、WWFジャパンによると「世界で一番密猟される哺乳類」とされ絶滅危惧種に選ばれています。
密猟が絶えない理由は一部の地域では肉として食べるのと、さらには体を覆っているウロコが漢方薬として使われるから。
高く売れるとあって、絶滅危惧種に選ばれていても、今もなお殺され売り飛ばされるケースが絶えません。
動物を食べることで疫病が広がるケースは絶えない現状
センザンコウと聞くとなんだかイメージが沸かない…という方も多いかもしれませんが、ほかにも世界の疫病が動物を食べることで広がったケースはたくさんあります。
後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome, AIDS)は、猿を食べたことから始まったという説が濃厚です。
記憶に新しい2012年頃に話題になった中東呼吸器症候群(MERS)は、ラクダに触れたことや摂取したことから始まったとされています。
このようにルールを掻いくぐって違法な肉食を続けることが、大きな問題に繋がっているケースは多いのです。
かつては「地域の問題」として目をつぶっていたことでも、今では情報が世界に広がるようになりましたし、飛行機などを使って簡単に人が行き来できるようになりました。
その結果、一部地域の問題だけに収まらず、今回の新型コロナウィルスのパンデミックのように全世界が影響を受けるようになってしまったのです。
工場型畜産が限界を迎えている現状
人間が肉食を続けている限り、今の畜産業は変わりません。とにかくたくさんの薬を家畜に打ちながら、できるだけ早く成長させて、肉として出荷していく。そんな現状をそろそろ変えないといけません。
抗生物質を多用する畜産の弊害
今回のパンデミックを受けて如実になったのが、人間も動物も抗生物質が効かなくなってきているという恐ろしい事実です。
2019年に発行された雑誌Science(サイエンス)では「低所得・中所得国における抗生物質の73%は家畜に使われている」という数字が発表され、大きな衝撃を与えました。
抗生物質の大半が、人ではなく、動物に使われているということです。つまり、これらの国において食べられている肉は、薬漬けということ。
そんな肉を食べて過ごしている人間の体はどうなってしまうのでしょうか。
ちなみに、これは貧しい国に限った話ではありません。
イギリスにおいても出回る抗生物質の1/3は家畜に使われているというデータがあります。
先ほどの73%と比べると低いとはいえ、それでもそれだけの量が家畜に使われているということです。
そんな薬漬けの肉を食べながら、定期的に自分自身も抗生物質にお世話になっている生活を送るとどうなるのでしょうか。
想像できると思いますが、薬が効かなくなってしまいます。
その結果、パンデミックが起きたときに、症状を治したり緩和する方法がなくなってしまうのです。
実際に、今回のパンデミックを受けて、すでに肺に問題がある人や、糖尿病などの持病がある人の方が病気にかかりやすく、また治りにくいという傾向がみられました。
いつパンデミックがまた発生してもおかしくない状況
工場型の畜産業では、とにかく肉を多く作ることに注力しているため、目も当てられないような環境が広がっていることが多いです。
ずさんな管理体制や、衛生的とは言えない環境からは、いつまた次の疫病が発生してもおかしくありません。
定期的に話題になる鶏インフルエンザが良い例ですが、狭い環境に押し込められている家畜は、すぐに病気が蔓延してしまいます。
肉を食べたいからと、よりたくさん・より安く作ろうとする人間のエゴによって、家畜の疫病が起きやすくなってしまっているのです。
そして、そんな病気を持った肉を、私たちが食べることで、また次のパンデミックが発生するリスクは常に潜んでいます。
私たちは、消費者としてこの工場型畜産を変えていかないといけません。
2023年のダボス会議でも「プラントベースに切り替えることが最後の砦だ」という話があがりました。その時のことは、こちらの記事でご紹介しています。
まとめ:パンデミックを受けて食べ方を見直す人が増えている
人間の「安くて美味しい肉が食べたい」というエゴによって、世界のパンデミックのリスクが高まっています。
単純に畜産業界が環境負荷が高く、大きな問題を抱えているというだけではありません。
環境問題が悪化していることも受け、ますます疫病の発生リスクは高まっています。
単純に世界のみんながヴィーガン・ベジタリアンに切り替えたら、これらの問題がすべて解決されるという話ではありません。
しかし、このままの食生活を続けていていいというワケでは決してないということが、多くの人の関心を集めています。
今まではヴィーガン・ベジタリアンに切り替えるのはハードルの高いことだったかもしれません。
しかし、昨今では代替食材の選択肢も増え、少しずつ食生活の見直しをしやすくなってきました。
これは、トレンドとして扱われるのではなく、特に先進国と言われる国で暮らす私たちが危機感を持って率先して取り組まなければならないものです。
変化を起こすのに一人一人の力が欠かせません。ぜひ、この機会に一歩踏み出してみませんか。
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