【アメリカ】ニューヨーク市での堆肥化が義務化へ、都市型コンポストの導入方法や注意点を解説

【アメリカ】ニューヨーク市での堆肥化が義務化へ、都市型コンポストの導入方法や注意点を解説

ニューヨーク市でコンポストが義務化されます。既に200以上の都市や大学で実施されているコンポストの始め方やその効果、注意点についてご紹介します。また、ニューヨーク市では既に成功事例があり、市民の参加と意識向上が進んでいます。環境への貢献のため、コンポストの導入を検討してみませんか?

ハッピーキヌア編集部
2023年06月25日
【アメリカ】ニューヨーク市での堆肥化が義務化へ、都市型コンポストの導入方法や注意点を解説
ニューヨークのエリック・アダムス市長が、このたび800万人以上のニューヨーク市民に対し、2024年から全域でコンポストの導入を義務化すると発表しました。

しかし、既にコンポストを導入している市民たちをはじめ、ニューヨーク市民からはコンポストの義務化に対し、「環境には良くても本当に実用的なのか?」「害虫、害獣など想定しうるトラブルへの対処はどうするのか?」といった疑問の声があがっています。

この記事では、ニューヨークのような都市のアパートに住んでいる場合のコンポストの導入方法について説明し、ネズミや害虫問題に関する疑問とその解決策や、コンポストの利点や成功事例についても併せて紹介します。

コンポストを始めてみたけれど、虫が湧いてしまって悩んでいる方や、コンポストの導入を検討している方、ぜひ参考にしてみてくださいね。

都市部におけるコンポストの普及

大都市におけるコンポストは一般的になりつつあり、アメリカ全土では既に200以上の都市や多くの大学が都市部でのコンポストを導入しています。

アメリカで最初にコンポストを導入したのは、サンフランシスコ。

1996年に食べ残しの路上収集を実施し、その後、アメリカの6つの州の大都市地域において、食べ残しや庭の刈り草の路上収集が許可されるようになりました。

日本でもサステナブルでエコであるということから、徐々に集め始めているコンポスト。

こちらの記事もご参考ください。

自宅でできるサステナブルな「コンポスト」の始め方

ニューヨーク市のコンポスト事業実施方法

ニューヨーク市は既にクイーンズ全域で路上の堆肥化収集を実施しており、リサイクルと同じ日に行われています。

2023年10月にはブルックリンでもコンポストが開始され、2024年3月にはブロンクスとスタテンアイランド、最後に2024年10月にはマンハッタンでも実施される予定です。

市は路上収集のためのガイドラインを作成しており、ラベル付きの容器に堆肥となる生ゴミを路上に出すか、市の廃棄物処理局の茶色のコンポスト用のごみ容器に入れることが求められます。

または、独自の容器を使用し、市から無料のコンポストごみ容器のシールを入手して自分のごみをコンポスト用のものとして目印をつけることもできます。

堆肥化(コンポスト)とは?

堆肥化とは、食べ物の残りや有機性のある物質(卵の殻や貝殻を除く)を一時的にキッチンの容器に分別し、主なごみ箱から除外すること。

プラスチックやガラスの容器、紙おむつ、金属、動物由来のもの(4本または2本の脚で歩いた動物から生まれたものを含む)は堆肥化できません。

堆肥化できるものとできないもの

コンポストに堆肥化できないものを混ぜてしまうと、害虫や害獣の発生の原因になったり、有毒物質の発生や悪臭の原因になってしまうことがあります。

堆肥化できないものは混ぜてしまわないように気をつけましょう。

また、ごみを一晩中ごみ箱に放置しないようすることも大切です。

堆肥化できないもの 堆肥化できるもの
肉類(牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉を含む) 野菜のくず
乳製品(全ての乳製品) 果物の皮や種
骨(魚の骨を除く) コーヒーのかす
プラスチック容器や製品 花が枯れたもの
ガラス容器や瓶 茎、葉、根
金属(アルミホイルを含む) とうもろこしの皮と穂
紙や泡の製品、非紙の包装材 オリーブやその他の種
使い捨てのおむつや個人用品 ナッツ、種、殻
動物の排泄物 シトラス系の皮

堆肥化できるものは植物由来、堆肥化できないものは動物由来、化学物質由来と考えておくと覚えやすいでしょう。

コンポストを始めるには

  1. 生ゴミがよく発生するキッチンに、コンポスト用の容器を用意

    この容器は一日分のくずを入れることができる小さな容器でOK。キッチンの流し近くやゴミ箱のそばに置きます。
    そうすることで、有機廃棄物を容器に入れることを思い出すことができます。これにより、通常のごみ箱がすぐに満杯になるのを防ぐだけでなく、容器にはクリーンな有機食品廃棄物だけが入っている状態となるため、ほとんど臭いません。
    さらに、蓋に炭素フィルターが付いている容器を選ぶと、腐敗した果物の臭いを吸収・中和し、より防臭効果を発揮してくれます。

  2. 堆肥の移し替え
    容器に入れた後、それをより永続的な堆肥場所(外に設置された堆肥トラフや家のそばの堆肥容器)に移す必要があります。
    田舎ではくずを屋外の堆肥桶や指定の堆肥場所に、一方、高層ビルに住んでいて庭や近くの庭園、または堆肥容器がない世帯は、アメリカで導入が進む路上収集のガイドラインに沿って普段のゴミ出しのようにして堆肥を出すことができます。

これらバナナの皮、アボカドの皮、とうもろこしの実などの植物性の食品廃棄物は、吸う瞬間かけて栄養豊かな植物の肥料になり、循環していきます。

堆肥の主要な成分:

  • 乾燥した葉、植物の茎、小枝などの炭素豊富な材料(ブラウンとも呼ばれる)
  • 緑色の材料、食べ物のくず、切り草、細かく刻んだ枝などの窒素豊富な材料(グリーンとも呼ばれる)
  • 空気(堆肥を活性化させ、分解を助けるために必要)
  • 水分(堆肥の中に十分な水分を保持することが重要)

都市型コンポストの利点

都市部での堆肥化の利点は以下の通りです:

  1. ゴミの削減: 堆肥によりごみ処理量が減少し、ごみの埋立地の使用量の削減される。これにより、環境への負荷が軽減される。
  2. 土壌改善: 堆肥は土壌の栄養分を増やし、水の保持力を向上させる。そのため、植物の成長が促進され、より健康で豊かな収穫を得ることができる。
  3. 温室効果ガスの削減: 堆肥化は有機廃棄物を分解する過程でメタンガスの発生を減少させる。メタンガスは強力な温室効果ガスであり、コンポストによりその放出を抑えることができる。
  4. 地域経済の活性化: コンポストは地域の雇用を促進し、コンポスト施設や関連するビジネスの成長をサポートする。また、コンポスト関連製品の販売も地域経済にプラスの影響を与えることが見込める。

ニューヨーク市における堆肥化の成功事例

ニューヨーク市では既に堆肥化が一部地域で実施されており、成功した事例もあります。

例えば、クイーンズでは堆肥化の導入により、廃棄物の削減と土壌の改善が実現されました。

市によると、クイーンズ区のカーブサイド・オーガニック・プログラムは、最初のシーズンで1,270万ポンドの資源転換に成功したと発表しています。

また、このコンポスト事業は地域の参加者から高い評価を受け、市民の意識向上と環境への取り組みが進んでいます。

ニューヨーク市の新たな義務化により、より多くの市民が堆肥化に参加し、環境への貢献を行うことが期待されます。

まとめ

2024年からニューヨーク市全域で義務化が導入予定のでコンポストについてご紹介しました。

コンポストは、都市部での普及が進みつつあり、既に多くの都市や大学が導入しています。

そこで、コンポストの実施方法や堆肥化できる・できないもの、始める方法についてご紹介しました。

コンポストにはゴミの削減、土壌改善、温室効果ガスの削減、地域経済の活性化といった利点があり、既にニューヨーク市では既に成功した堆肥化の事例もあり、市民の参加と意識向上が進んでいます。

プラントベース志向で健康的なライフスタイルを推奨する、ニューヨークのエリック・アダムス市長による新たなこの政策に、注目が集まります。

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