ポップでカラフルなサンダルが特徴的なクロックス。そんなサンダルを生み出すクロックス社が、2021年末までにすべての製品をヴィーガンに切り替えるという発表をしました。
サステナブルな取り組みを急速に進めているクロックスの取り組みや、目指していく姿についてご紹介していきます。
合わせて、昨今注目されている「ヴィーガンレザー」のトレンドも解説します。
クロックス社が2021年末までにヴィーガンに!
2021年も後半に差し掛かった今、なんと「今年中に全商品をヴィーガンにする」というクロックス社のニュースが入ってきました。
クロックスというと、あのプラスチック製の軽くて可愛らしい彩りのサンダルをイメージする方も多いかもしれません。
すでに商品ラインアップのほとんどが動物由来の素材を使っていないクロックス社でしたが、コレクションの一部にレザーを使っていたのです。
エコフレンドリー企業として急速に取り組みを進めているクロックス社ですが、今年中にはすべてのレザー商品を停止するとは思い切った宣言です。
クロックス社が目指している2030年の目標とは

「2021年末までに全商品をヴィーガン対応にする」という宣言をしたクロックス社ですが、この発表は大きな目標に向けた一歩でしかありません。
同社は、2030年までに環境に優しい「ネット・ゼロ・カンパニー」を目指すという大きな目標を掲げ、サステナブルな取り組みを着々と進めています。
この「ネット・ゼロ」とは、カーボンフットプリントをゼロにするということ。
この大きなターゲットに向けて、発表された取り組みは以下の通り。
- よりエコフレンドリーな素材を探すこと
- 商品の梱包を見直すこと
- 再生可能エネルギーへの投資をすること
- 使い終わった商品(古くなった靴)をどのように扱うのか
カーボンフットプリントをゼロにするというのは、かなり大きなハードルではありますが、CEOのAndrew Ree氏(アンドリュー・リー氏)は、すごく前向きにプロジェクトを進めています。
「とても良いチーム、積極的な改革、協力的なパートナーがいるからこそ、2030年のターゲットは目標達成できるはず」とコメントしました。
よりサステナブルな企業を目指して実践している取り組み内容
「ネット・ゼロ・カンパニー」宣言は、ファッション業界の中でかなり思い切った目標です。
人にも、動物にも、環境にも優しい企業を目指すことを第一とするクロックス社は、すでにほかのアパレルブランドより一歩先を行く取り組みを始めています。
着実に進めてきた靴ボックスの廃止
靴屋さんで靴を買うと、紙でできた靴ボックスに入れて持ち帰るのが当たり前でした。
さらに、紙やプラスチック製の梱包材まで詰まって受け取ることが多いですが、これらは自宅に帰るや否やゴミとなるという点に目を付けたクロックス社。
「靴を売るときは箱に入れる」という固定観念を取り払い、靴ボックスなしでの販売に切り替えています。
2020年の段階では、すでにクロックス社の85%が靴ボックスなしで簡易包装での販売となりました。
このように、当たり前だと思っていた商習慣をいち早く見直すということは、サステナブル企業として大切になってきています。
クロックスのサンダルはすでにカーボンフットプリントは低め
クロックス社のサンダルは45%がリサイクル素材でできています。
素材の調達から製法にも見直しがかけられたこともあり、カーボンフットプリントは他のファッションブランドと比べても低めとなっています。
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同社独自の計算方法によるとカーボンフットプリントは3.94㎏のCO2というところまで抑えられています。
ただし、これで満足するワケにはいきません。「ネット・ゼロ・カンパニー」に向けて、さらなる生産工程での改革が期待されています。
廃棄ではなく寄付やリサイクルプログラムを実施
クロックス社は自社商品のリサイクルにも手をかけています。
何もしなければゴミとなり、ゴミ捨て場に捨てられてしまうサンダルなどを、できる限り長い期間楽しんでもらいたいと、寄付をしたり、リサイクルプログラムを実施しています。
また、再生可能エネルギーの原料にできないかと、技術的な開発も着々と続けられています。
古くなったサンダルを回収することで、それがエネルギーに切り替わり、オフィスや在庫拠点などの電気として使われるようになれば、よりサステナブルな循環が生まれることになります。
よりエコフレンドリーな素材の導入も検討中
クロックス社の定番のサンダルは、現時点でもヴィーガン素材であり、レザーと比較するとエコフレンドリーです。
ただし、素材となるポリエチレンが環境に良いかというと疑問点が残るということを、同社はもちろん理解しています。
昨今多くのスタートアップ企業が、よりエコフレンドリーな素材を作ろうと切磋琢磨しています。
- パイナップルの葉由来の素材
- リンゴの皮由来の素材
- きのこの根っこ由来の素材
- サボテンの葉由来の素材 など
こんなものまで素材になるの?と驚くような植物を使って、植物性素材を開発している企業がたくさんあります。
2020年にはReebok(リーボック)社が、ひま豆、ユーカリ、ゴムの木素材の完全プラントベース靴をリリースしたばかりです。
クロックス社だけでなく、多くの靴ブランドがこのようなプラントベース素材の検討・導入を進めています。
気になるパイナップル由来のレザーについては、こちらの記事でご紹介しています。合わせてご覧ください。
今、注目されているマッシュルームレザーとは?
プラントベースレザーが注目される中で、キノコを素材として作られるヴィーガンレザーが、アパレル業界で話題沸騰となっています。
マッシュルームレザーのBolt Threads(ボルト・スレッド)社
2020年にバイオ技術のスタートアップであるBolt Threads(ボルト・スレッド)社が、多くのブランドとパートナーシップを結んだことでも話題になりました。
同社がマッシュルームレザーを売り込んだのはAdidas(アディダス)やLululemon(ルルレモン)などの巨大アパレルブランド。
そして、Gucchi(グッチ)やSaint Laurent(サン・ローラン)、Bottega Veneta(ボッテガ・べネタ)などの超ハイブランドまでもマッシュルームレザーに注目して契約を結んでいます。
なぜキノコ由来のレザーが注目されているのか
知らない人はいないというくらいのハイブランド・巨大企業がこぞって契約に乗り出したマッシュルームレザーは、成長スピードの速いキノコの根っこの部分を活用して作られる新素材です。
今までの動物由来のレザーと比較すると、動物の命が守られるだけでなく、カーボンフットプリントも抑えられるとあって、注目されています。
従来の水や土地を使って動物を育てる方法と比べると、研究室にて作れるレザーは生産時の二酸化炭素排出量・水や土地の使用量ともにぐっと抑えられます。
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2021年4月にはアディダス社が人気スニーカーのマッシュルームレザー版を発表し、セレブがこぞって話題にするなど、注目が集まりました。
「靴=革製」という固定観念を取り払い、多くの靴ブランドはプラントベースレザーへの切り替えを検討し始めています。
これからどのような商品が生まれるのか、楽しみですね。
まとめ:クロックス社のヴィーガン化は大きな取り組みの中の一歩
2021年末までにクロックス社の全コレクションをヴィーガン化するという大きなニュースが入ってきました。
大きな宣言に見えますが、何年も前からサステナブルな取り組みを進めているクロックス社にとって、これは一つの一歩でしかありません。
最終的なゴールは「2030年にカーボンフットプリントをゼロにする」という、とても大きなものです。
よりエコフレンドリーな企業を目指して、今できることを着実に進めているクロックス社。
着々と開発が進むプラントベース素材も導入も検討していて、新コレクションの発表がファッションという側面だけでなく、サステナブルという面でも楽しみです。