電気自動車に乗り換えたら本当にエコ?電気自動車のメリットとデメリットを解説
有害ガスを排出しない電気自動車は、本当に環境にやさしい車といえるのでしょうか。電気自動車のメリット・デメリットとあわせ、環境に悪いとされる理由などを解説します。
ガソリン車やディーゼル車と比べ、環境負荷が低いと思われがちな電気自動車ですが、本当にエコな乗り物といえるのでしょうか。
電気自動車のメリットとデメリットとあわせ、その詳細を解説します。
目次
電気自動車(EV)とガソリン車のちがい
ガソリンを使わず、エンジンの代わりにモーターを搭載し、バッテリーにためた電気のみで走行する自動車のことを「電気自動車」と言います。
電気自動車は、PHVやハイブリット車とも違い、電気の力のみで走行するのが特徴です。
また、大量の電池が車体に敷き詰められており、家庭や道路上に設置されている充電器により充電する必要があります。
電気自動車は、排気ガスを出さず、エンジン音が静かで振動が少ないといった従来の車とは異なる特徴があります。
電気自動車のメリット・デメリットとは
電気自動車には、一体どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
電気自動車の3つのメリット
1. 騒音が少なく環境にやさしい
電気自動車は、その名の通り電気をエネルギーにして走行するため、有害な排気ガスが排出されません。
また、エンジンの代わりにバッテリー駆動の電気モーターシステムを利用するため、走行音が非常に静かで、住宅地の騒音対策などにも有効です。
2. ガソリン車と比べて走行コストがかからない
電気で走行する電気自動車は、ガソリン車と比べた際、燃料コストが安いのがメリットです。
自宅の充電器を利用して充電した場合、かかる費用は電気代のみで済みますし、エンジンがないためエンジンオイルなどの消耗品関連の費用も抑えることができます。
3. 非常用電源としても活用できる
外部給電機能を備えている電気自動車は、災害時やアウトドアの際、非常用の電源として活用することができます。
災害時には、スマートフォンや照明器具、扇風機など生活必需品へ充電することもできますし、実際に避難所で電力の供給が行われた事例も多数あるようです。
普段は移動手段として使われる車が、いざという時には非常用の蓄電池にもなり、数日分の生活に必要な電気をまかなうことができる心強い存在になるのです。
電気自動車の3つのデメリット
1. 充電に時間がかかる
ガソリン車の場合、5分もあれば燃料を「満タン」にすることができます。
しかし、電気自動車をフルに充電するためには、最短で30分、最長で10時間ほどかかるため、かなりの時間を要します。
2. 静かすぎるエンジン音が安全をおびやかす可能性も
走行音が静かすぎる電気自動車は、サイレントエンジンに関する安全上の懸念もあります。
あまりに静かなエンジン音では、歩行者がギリギリまで車の接近に気づきにくく、危険を察知しにくいという問題が浮上します。
とくに、高齢者の方々への配慮が必要です。
3. 航続距離がガソリン車よりも短い
電気自動車の充電ステーションは、現在都市部に集中しており、郊外では不足しています。
また、一回の充電で走行することのできる航続可能距離が基本的にガソリン車よりも短いため、長距離移動の際にはバッテリーの残量に気をつける必要が出てきます。
近年、400~500㎞航続可能な電気自動車も販売されていますが、どのガソリン車も航続可能距離が最低でも500㎞以上になるようにつくられているのに比べれば、まだ改善の余地があるといえそうです。
エンジン車から電気自動車への乗り換えはエコなのか
走行時に有害な排気ガスを出さない電気自動車は、エンジン車よりも環境負担が少ない乗り物といわれています。
では、エンジン車(ICEV)から電気自動車(EV)へ乗り換えることは、本当にエコといえるのでしょうか。
実際、電気自動車には、製造時における環境への悪影響や資源不足、廃棄時の環境汚染などさまざまな問題が取り沙汰されています。
電気自動車がエコではないといわれる理由とは、一体どのようなものなのでしょうか。
発電方法によって環境への負担が変わる
電気自動車は、それぞれ発電方法によって環境への負担が変わります。
例えば、地球温暖化の原因とされている石炭火力発電を利用した場合には、温室効果ガスの排出量が高く、環境への負荷も大きくなります。
しかし、風力や太陽光など再生可能な自然エネルギーを利用した場合には、環境への負担は軽減されます。
現在、世界各国、それぞれの地域により発電方法は大きく異なるため、環境に配慮された電力なのかどうかを確認してみられてはいかがでしょうか。
バッテリーの資源採掘とリサイクル問題
電気自動車のバッテリーには、リチウムイオン電池が搭載されています。
このリチウムイオン電池を製造するためには、ニッケルやリチウム、レアメタルの採掘が必要です。
世界中で電気自動車の普及が進む現在、リチウムイオン電池の需要が急増しており、採掘に伴う環境汚染が懸念されています。
採掘が進めば、いつか鉱山資源が枯渇してしまうため、新しい鉱山でニッケルやコバルトなどのレアメタルを掘り進めていく必要があります。
そうなれば、採掘や輸送の際に排出される二酸化炭素の量が増加しますし、鉱山開発による排水問題などの環境破壊も懸念されます。
また、コバルトなどのレアメタルは毒性が強いため、採掘時の粉塵によって健康上の問題が引き起こされることもあるようです。
さらに、有害物質であるリチウムを適切な方法でリサイクルしなかった場合には土壌汚染が引き起こされるため、取り扱いには注意が必要なのです。
ライフサイクルCO2排出量がカギ
自動車の製造から廃棄される時までを含めて試算されたCO2排出量を「ライフサイクルCO2排出量」といいます。
「バークレーエネルギー資源コラボレーティブ」によりますと、電気自動車(EV)が、ガソリン車(ICEV)のライフサイクルCO2排出量を下回るのには、最低でも100,000kmの走行距離が必要とされています。
環境に良いからといってガソリン車から電気自動車に乗り換えたとしても、走行距離が短いまま、2~3年ですぐに他の車に交換してしまうのは、エコとはいえません。
電気自動車を購入したら、なるべく長く維持し、100,000km以上乗り続けることで、エコに貢献できるようになるのです。
まとめ
走行時に排気ガスを発生させない電気自動車は、地球環境にやさしいエコな車として注目されています。
ただし、一度の充電による走行可能距離がガソリン車よりも短く、郊外では充電スポットも不足しているため、セカンドカーとして使われることも多いようです。
また、電気自動車を製造する際には、レアメタルなどたくさんの鉱物資源が必要とされ、その裏では児童労働などの人権問題も取り沙汰されています。
さらに、バッテリーの廃棄やリサイクル方法を誤った場合、土壌や水が汚染される環境汚染を引き起こしかねません。
電気自動車製造時のCO2排出量を考えた場合、ガソリン車よりも電気自動車の方がエコだといえるようになるまでには、最低でも100,000㎞のドライブが必要になります。
ガソリン車から電気自動車への乗り換えを考えられている皆さん、電気自動車を維持し乗り続けることこそがエコへの貢献になるのです。
ハッピーキヌアヴィーガンメディアのこちらの記事も、ぜひご参考ください。