【徹底解説】健康のために知っておきたい「遺伝子組み換え(GMO)」
ヴィーガンの食生活に欠かせない、大豆・大豆製品などは、遺伝子組み換え作物が使用されている可能性もありますし、遺伝子組み換え食品安全確認の裏には悲しい事実も存在します。そのため、ヴィーガンは知っておきたい「遺伝子組み換え」について詳しくご紹介します。問題点や注意点を知ることで、動物福祉、そして健康や環境を守ることが出来ます。
目次
遺伝子組み換えサケとは?
2015年、FDA(米国食品医薬品局)は、遺伝子組み換えされたサケ(アトランティック・サーモン)を食品として承認しました。
遺伝子組み換えの動物が食品として認可されたのは、世界初となりました。
この遺伝子組み換えサケは、米国のベンチヤー企業・アクアバウンティ社により開発されました。
キングサーモンの成長遺伝子と安定して成長する「ゲンゲ」という海水魚の遺伝物質を組み合わせた遺伝子を、タイセイヨウサケの卵に注入し組み込まれるため、成長速度は通常のサケの2倍となるため効率的な生産が可能になるというものです。
この遺伝子組み換えサケは繁殖不能とはされますが、仮に養殖池の外に出た場合に在来種のサケとの生殖活動を回復する可能性もあり、そうなれば、組み換え遺伝子が環境中に拡散してしまうことになるという懸念もあります。
米国での承認を受け、日本でも申請が出される可能性があるため、長年に渡り、遺伝子組み換え食品の危険性を訴え続けている日本の「生活クラブ生協連」とアメリカの市民団体「食品安全センター」とが連携する形で、遺伝子組み換えサケの承認と流通に反対する共同声明を発表しました。
日本は世界最大の魚介類輸入国の1つであり、中でもサケは日本の消費者が好む食材でもあります。
将来、もし日本政府が遺伝子組み換えサケを承認した場合、遺伝子組み換えの表示義務が店頭販売時に必要となります。
しかし、外食産業での食材向けや加工食品の原料として販売された場合、消費者に対する表示義務は免除されているため、知らずに食べる可能性はあり、この点が心配されています。
賛否両論のある遺伝子組み換えですが、日本ではどの作物が流通しているのでしょうか?
その点に関して、次にご紹介します。
安全性が確認され日本で流通している遺伝子組み換え食品
日本で食品として安全性が確認され使用が認められている遺伝子組み換え作物は、大豆・トウモロコシ・セイヨウナタネ・綿・パパイヤ・アルファルファ・テンサイ・ジャガイモの8種類320品種あります。(2019年8月現在)
1996年以来、毎年多くのGM作物が日本へ輸入されています。
食品として遺伝子組み換え作物が多く使われているのは、コーン油・大豆油・ナタネ油・綿実油などの食用油・しょうゆ・コーンスターチ・コーンシロップなどです。
また、遺伝子組み換え作物は家畜の飼料としても多く使われています。
どれくらいの遺伝子組み換え作物が日本に輸入され、どのような食品に利用されているの?
日本では1996年から遺伝子組み換え作物を利用していますが、法的には認められているものの、観賞用の花(青いバラなど)を除き、商業的な栽培はされていません。
したがって、日本で食品として利用されている遺伝子組み換え作物は、すべて外国からの輸入によるもので、日本が輸入する年間穀物量(約3,000万トン)の半分以上が遺伝子組み換え作物であると推定されます。(2016年現在)
例えば、ヴィーガンの食生活に欠かせない事も多い「大豆」ですと、以下のような数値となります。
- 日本への主要輸出国・・・米国、ブラジル、カナダ
- 作物の総輸入量(単位:千トン)・・・3,132
- うち、GM作物の推定輸入量(単位:千トン)・・・2,917
- GM作物推定輸入比率・・・93%
(出典:バイテク情報普及会事務局「よくある質問」)
遺伝子組換え大豆の主な使用用途は、食用油である大豆油となっています。
この大豆油は、揚げ油やサラダ油、缶詰、レトルト食品などに使用されています。
「大豆油」は遺伝子組換えの表示義務がありませんので、原材料名として、「大豆油」のみが記載されている場合は、「遺伝子組換え大豆」が使用されている可能性があると言えます。
他にも表示義務がない大豆製品に「しょう油」もあります。
市販されている「しょう油」の場合、「大豆:遺伝子組換えではありません」の任意表示があることは多いようですし、「国産大豆」と表示があれば、遺伝子組換え大豆の心配はありません。
また、大豆製品として、豆腐、高野豆腐、油揚げ、みそ、ゆば、納豆、豆乳、きなこ、おからなどには、遺伝子組換え表示義務があります。
ただし、しょう油が使われている加工品のドレッシングやスープ、お菓子などですと、表示がなくなるため注意が必要です。
以上のように、遺伝子組換え大豆が使用されている食品には、表示義務がある場合と無い場合があるようですが、他の食品での表示義務はどのようになっているのでしょうか?
その点に関して、次にご紹介します。
遺伝子組換え食品の表示義務
食品の表示は、消費者が商品を選択する上で重要な情報です。
消費者に対して信頼性・実行性のある情報提供を行うため、表示方法が決められています※1。
表示には義務表示と任意表示の2つがあります。
なお、以下に示すものは平成30年2月末時点※1の制度です。
【義務表示】
- 分別生産流通管理※2された遺伝子組換え食品を原材料とする場合
⇒「遺伝子組換え」と表示
- 組換え、組換えでないものを分別していない食品を原材料とする場合
⇒「遺伝子組換え不分別」と表示
- 従来のものと組成、栄養価などが著しく異なる遺伝子組換え食品を原材料とする場合
⇒例:「高オレイン酸遺伝子組換え」と表示
【表示不要または任意表示】
- 分別生産流通管理された遺伝子組換えでない食品を原材料とする場合
⇒表示不要又は「遺伝子組換えでない」と表示
- 加工後に組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が、広く認められた最新の技術によっても検出できない加工食品(大豆油、しょうゆなど)
⇒表示不要(任意で表示することも可)
※1:平成30年2月時点で、消費者庁において「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」を開催し、今後の遺伝子組換え表示制度の在り方について検討を行っているところ。
※2:分別生産流通管理・・・遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物を生産、流通及び加工の各段階で混入が起こらないよう管理し、そのことが書類などにより証明されていること。
(引用:消費者庁「遺伝子組換え食品」)
以上のように、「表示不要または任意表示」となる場合もあり、注意していないと全ての遺伝子組み換え食品を避けることは難しいと言えます。
ただし、「遺伝子組み換えではありません」・「国産大豆」などという表示のある商品を購入すれば、遺伝子組み換え食品を避けることができます。
また、先に述べたように、現在日本で流通されている遺伝子組み換え作物8つを知っておくことが大切です。
そうすることで、その食品、または、それらが使われている可能性のある加工品食品を購入する際には、成分表示を特に気を付ければ避けることが可能な場合もあります。
また、加工品は出来る限り避け、NON-GMOと表記されているものや、オーガニックのものを選ぶようにすると良いかもしれません。
ただし、遺伝子組み換えなし=オーガニックとなるわけではありません。
一方で、食品におけるオーガニック規格の要件は「遺伝子組み換え使用不可」の為、有機マーク保有の食品は遺伝子組み換えなしと捉えることが出来ます。
詳しくは、「オーガニック・有機栽培とは?定義や違いを徹底解説」の記事も参考にしてください。
ハッピーキヌアセレクトショップでも無添加・オーガニック食品などを購入可能です。是非チェックしてみてくださいね!
まとめ
遺伝子組み換えは問題視される点も多く、健康や環境面、エシカル(倫理的)面での問題もあるとされるので、出来る限り避けるべきと言えます。
また、ヴィーガンとして、遺伝子組み換え食品の安全確認のために「動物実験」が行われているという事実を知ることもとても大切です。
さらに、ヴィーガンの食生活に欠かせない、大豆・大豆製品などは、遺伝子組み換え作物が使用されている可能性もあるため、自らが口にする農作物がどのように作られているのか、関心を持つようにしたいですね。