廃水を菌糸体タンパク質にアップサイクル、Hyfé Foodsのビジネスモデルをご紹介
200万ドルもの投資を勝ち取った、フードテック企業、Hyfé Foods。なぜこの企業が、大きな資金調達を実現できたか?そこには、私たちの未来の食糧危機を救うカギがありました。
目次
廃水をアップサイクル?
さまざまな食品が、アップサイクルされている
いままで、私たちが知り得た、アップサイクルされる原材料には、どういったものがあったでしょうか。
エルメスなどの高級ブランドや、高級車などが使用して、広く認知されるようになってきています。
そして、キノコの菌糸体を原料にした、レザーも開発されています。
これらは、どれも、元となる食品を、乾燥や、発酵をさせて、作ります。
栄養豊富な廃水をアップサイクル
Hyféが、使用している水は、もともと、食品製造工場で出た、廃水です。
それは、廃糖水とも呼ばれています。
廃糖水は、食品などを製造する際に用いたあと、排水とされてしまう、工業用調理水のことを指します。
この水には、栄養分が豊富に溶け出しています。
食品の洗浄、浸漬などで使われた水は、排水口を通り、流されていくのが、通常のしくみです。
Hyféで使用される、この水は、排水されたものではありますが、決して、汚水ではありません。
それは、例えば、缶詰のなかで豆を浸す水や、発酵に使用される水と同様の、安全なものです。
そして、この水の、豊富な栄養分を利用して、低炭水化物・高タンパク質・アレルギーフリーの、小麦の代替製品を製造しています。
参考:THE ENGINE
Hyféが使用する水の、環境への影響
Hyfé Foodsは、食品工場から出る廃糖水を利用して、製品を製造します。
その際に、廃水から、栄養素を抽出したあと、製造者に、きれいな水として、戻しています。
この、Hyféの取り組みは、いくつかの大きな成果を遂げ、大きな資金協力を勝ち取ることができました。
そのうちのひとつが、この、廃水の利用です。
この水は、ただ「モッタイナイ精神」だけで、評価を得たのではありません。
環境への負荷を、大幅に減らしてもくれるというのです。
食品製造は、環境への負荷が高い
現在の食品製造業界は、世界の、淡水使用量の70%、また、温室効果ガス排出量の25%を占めています。
そして、廃水処理に関連する排出量は、温室効果ガスの総排出量のうち、最大で、1.5%を占めるそうです。
食品製造は、世界全体で、毎年、95兆ガロン(約359.6兆リットル)という、莫大な廃水を排出しています。
これは、世界で3番目に大きな、廃水発生量のある業界と言われています。
その廃水を、アップサイクルすることは、廃水処理施設から大量に生成される、温室効果ガスであるメタンを減らすことができます。
メタンは、二酸化炭素の84~86倍の温暖化効果があるとされています。
その、メタンガスの発生原因となる、廃水を、アップサイクルすることは、環境への負担を、大幅に減少させます。