イスラエルのヴィーガン革命が熱い!コーシャ対応や3Dプリンターを使った代替肉、培養肉など徹底解説
中東のイスラエルはヴィーガンやベジタリアン人口が大変多い国として知られており、特に代替肉市場の発展は目覚ましいものがあります。コーシャ対応や、最先端の3Dプリンターを活用した「代替肉」「培養肉」とは、どういったものか、本記事で徹底解説します。
ユダヤ教の食事規定「コーシャ」とは?
イスラエルの人口の74%がユダヤ教を信仰していることは先にも触れましたが、ユダヤ教には「コーシャ」という食事規定があります。
コーシャでは、肉と乳製品を一緒に食べてはいけない、動物性の油の摂取が禁じられているなど様々な決まりがあり、コーシャ料理は環境に配慮されたエシカルな料理としても知られています。
ユダヤ教では、コーシャの食事制限を厳格に守っている人も多く、イスラエルの多くのレストランやファーストフードなどには、コーシャ対応メニューが存在します。
また、イスラエルは地中海に面した国でもあり、北部と西部では、農作物の栽培もさかんに行われています。
そのため、イスラエルの地中海料理は、トマトなどの野菜や果物、オリーブオイルなどがたくさん使われた、栄養たっぷりでヘルシーな料理です。
培養チキンの開発
イスラエルの培養肉メーカーのひとつ「スーパーミート」社では、すでに培養チキンの開発に成功しています。
その培養チキンは、隣接するレストランで、試験的に提供されています。
培養チキンは、文字通り「培養された鶏肉」で、受精した鶏の卵から取り出した細胞に植物由来の栄養液を供給し、人工的に培養することでつくり出されたものです。
現在、イスラエルの食品当局からの認可待ちで、まだ一般には提供されていませんが、培養チキンを試食した人たちによると「普通のチキンと変わらない味で、美味しい」との好評価を得ているようです。
培養チキンがヴィーガンフードかどうかは議論が巻き起こっているところですが、栄養液は植物由来であること、成長した鶏を殺生しないこと、環境への負荷が圧倒的に少ないことなどからも、新たな代替肉として注目を集めています。
すでに培養チキンが「クリーンミート」として認可されているシンガポールのように、近い将来、街中のレストランで培養チキンを使ったメニューが提供される日も近いかもしれません。
3Dプリンターを使った代替肉!?
イスラエルの企業「Redefine Meat(リディファイン・ミート)社」が、新商品として、3Dプリンターを使って作られた5種類の代替肉(ミンチ肉)を発売しました。
「3Dプリンターを使った代替肉?」と、不思議に思われるかもしれません。
まず、代替肉とは、先ほどの培養肉とは異なり、植物由来の素材を使って、味・見た目・食感にいたるまで本物の動物性肉に近づけたものです。
見た目も本物のお肉そっくりで驚きです。
3Dプリンターを使った方法では、本物の肉になぞらえた3Dデータを装置に取り付け、植物由来の材料を食用インクとして3Dプリントすることにより、代替肉が出来上がる仕組みになっています。
実際に製造された代替肉はタンパク質に富み、とてもジューシーで食感までリアルに再現されているようです。
さらにカロリーもコレステロールも低いため、とてもヘルシーです。
今回開発・製造された代替肉は、バーガーやラムケバブ、ソーセージなどの材料として使われ、今後イスラエルの一部のホテルやレストランで提供される予定です。
3Dプリンターで作られたプラントベースフードについては、ハッピーキヌアヴィーガンメディアのこちらの記事もご参考ください。
3Dプリンターで作られた食品!?最新テクノロジーを使った植物由来食品を解説
代替肉や培養肉の開発が進んでいる背景とは
今、地球上では、急激な人口の増加による食糧不足が懸念されています。
このまま人口が増え続ければ、それだけ主要なタンパク源となっている畜産物の需要も増え続け、将来的には供給が追いつかなくなり、タンパク源が不足することが予想されます。
また、家畜を飼育するためには、大量の水が必要です。
例えば、牛肉を1キロ生産するためには、約1万5,000リットルもの水が消費されるのです。
さらに、食肉産業による土地の汚染や温室効果ガスの排出など、地球環境の汚染も問題視されています。
このような背景から、持続可能な社会の実現に向け、地球環境への負荷も少なく、家畜とされた動物の命を奪わずにつくり出せる培養肉や、代替肉などの開発が必要とされているのです。
ハッピーキヌアヴィーガンメディアのこちらの記事もご参考ください。
シンガポールの大学で、”代替肉学コース”が誕生!ヴィーガンを学べる学科のある大学
まとめ
以上で見てきたとおり、イスラエルでは培養肉(クリーンミート)や代替肉の開発が大変盛んです。
培養肉は、「クリーンミート」の呼び名からもわかるように、製造過程での自然環境への負荷がほとんどなく、動物を殺生する必要もありません。
一方代替肉は、動物性肉に劣らぬ量のタンパク質を摂取できるにもかかわらず、カロリーやコレステロールが低く、ヘルシーです。
それぞれに特徴はありますが、いずれも日々目まぐるしい発展を続けており、イスラエルは世界の代替肉市場をリードしています。
これらを推進しているイスラエルは、まさに「食の革命国」とも言えるのではないでしょうか。