食で気候変動に挑む、デンマークの「クローネ計画」とは?
デンマークの「クローネ計画」は、政府が日本円で約218億円を投じて研究開発を行う、プラントベースの食料計画です。気候変動問題の原因となる温室効果ガスの抑制を目標にしています。クローネ計画とは何か、気候変動との関連、背景にある肉食からプラントベースへの食習慣の転換など、クローネ計画とデンマークの今について解説します。
デンマークの「クローネ計画」の受け止めは?
このクローネ計画はどのように評価されているのでしょうか。
Good Food Institute Europe(GFI Europe)は、肉製品をプラントベースの製品に置き換えることで、持続可能で安全な食のシステムを支援している、国際的なNGO(非政府組織)。
そのGFI Europe のAcacia Smith氏は、クローネ計画についてこう述べています。
「デンマークが第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26:2021年)に向けて立てた(計画の)ように、世界中の政府は、プラントベースの食材や培養肉※を気候計画に織り込むべきです」
参考:GFI Europeホームページ、Live Kindly
プラントベースのたんぱく質を生産・消費することで気候変動を解消しようというデンマークのクローネ計画は、デンマークが、他国の主導的立場になってプラントベースを促進する役割になると期待が高まっています。
※培養肉とは、動物の細胞を組織培養することによって作られる肉のことです。動物を肥育するのに比べて地球環境への負荷が少ないため、代替肉として注目されています。
培養肉についてはこちらの記事もご覧ください。
「ネスレが、イスラエルの培養肉開発に本格参入!食の最先端をお届け」
「イスラエルのヴィーガン革命が熱い!コーシャ対応や3Dプリンターを使った代替肉、培養肉など徹底解説」
デンマークの「クローネ計画」の背景にヴィーガン食への関心の高まりも
デンマークベジタリアン協会によると、健康志向や動物福祉、地球温暖化への関心の高まりから、総人口に占めるベジタリアン(ヴィーガン含む)の割合は、2018年時点では2.5%と、前年の1.8%より増えているとのこと。
年々高まるプラントベースの食品のニーズは、政府の働きかけにも関わりがあります。
デンマーク政府は、今年初めに新しい食事ガイドラインを公表し、人々が肉の消費を減らし、代わりにプラントベースの食品をより多く食べるようにアドバイスしています。
参考:Live Kindly
デンマークのクローネ計画は、ヴィーガン食の関心の高まりを背景に、国民にプラントベース食への転換を呼びかけて、気候変動問題に対処しようとしているのです。
デンマークの「クローネ計画」の今後に注目
デンマークの「クローネ計画」は、気候変動対策として、プラントベースのたんぱく質の生産を上げる研究開発を行う、投資額12億5000万以上(日本円で約218億円)の大規模な計画です。
たんぱく質の供給を、肉ではなく、プラントベースで行うこの計画は、実現すれば、二酸化炭素を始めとした温室効果ガスを削減し、パリ協定で採択された、気温の上昇を抑えることにつながります。
デンマーク政府は、さらに5年間で2億6000万デンマーク・クローネを投じて、培養肉などを支援する「グリーンプロテイン」戦略を打ち出しています。
クローネ計画を始め、グリーンプロテイン戦略など、食で気候変動に挑む、デンマークの取り組みの結果に、大きな期待が寄せられています。
参考:GFI Europeホームページ
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