ネスレが、イスラエルの培養肉開発に本格参入!食の最先端をお届け
ネスレの培養肉開発に参入というニュースの詳細と、培養肉について、そして今後の伸びしろについてご紹介していきます。培養肉、これから急速に広まっていきそうです。
そもそも培養肉ってどんなお肉なの?
このネスレ社とFuture Meat社のパートナーシップで話題になっている「培養肉」とはどのようなものなのでしょうか。
研究室の中で行われる畜産とも言われ、まだイメージできないという方も多いのではないでしょうか。
培養肉とは、牛や鶏、魚などからごくわずかな細胞を採取し、それを研究所にて培養したもののことです。
まだ開発途中ではあるものの、見た目や食感などを出来るだけ本物の肉に近づけようと多くの研究室が切磋琢磨している最中です。
従来の畜産と大きく異なるのが、環境負荷が限りなく少ないこと。
牛や鶏を育てる畜産は、多くの土地や水、牧草などを使い動物を育てるため、環境負荷が大きいと言われています。さらに動物の排出するメタンなどの温室効果ガスも見逃せません。
そんな中で、研究室の中で「育てる」ことの出来る培養肉は、限りなく環境負荷が少ないとされており、サステイナブルな取り組みとして注目を集めています。
培養肉については、書籍「クリーンミート」が参考となるため、ご興味ある方はご一読を推奨いたします。
培養肉はヴィーガン対応なの?
ヴィーガン・ベジタリアン食を楽しんでいる方は「培養肉」には注意が必要です。
なぜなら、培養肉は動物性の細胞から「育てて」作られたお肉だからです。
一言で「代替肉」とくくられてしまうことが多いのですが、「代替肉」の中には大きく分けて二つのジャンルが発生しています。
- 培養ミート(動物の細胞から培養したもの)=動物性なのでヴィーガン・ベジタリアン対応ではない
- 植物性ミート・ベジミート(大豆などをベースに作られたもの)=こちらは植物性なのでヴィーガン・ベジタリアン対応であることが多い
まだ新しいジャンルということもあり「培養肉」の方は特にいろいろな呼び名があり混乱してしまいがちです。
- セルミート(Cell meat):セル=細胞という意味
- ラボベースドミート(Lab based meat):研究室で作られる肉という意味
「代替肉」と書いてあるからと言って、必ずしもヴィーガン・ベジタリアン対応ではないこと、また「培養肉」の方は新しい呼び名がどんどん生まれている点を覚えておいていただければと思います。
加速する植物性ミートと培養ミート業界
ネスレ社が研究開発を進めるのは培養ミートですが、同じく植物性ミート業界も話題沸騰です。
世界中でヴィーガン・ベジタリアンがトレンドとなっていたり、人々の消費がよりエシカルな方に目を向けるようになっていることを受け、急速に「代替肉業界」は成長しています。
今回のネスレ社のプレスリリースでは、このような想定値が紹介されています。
- 培養ミート業界は、2027年までに2000万ドル規模に膨れ上がる
- 2040年までに培養ミートが「お肉」の35%を占めるようになる
- 2040年までに培養ミートと植物性ミートが世界の「お肉」の60%と過半数以上を占めるようになる
培養肉の研究開発を進めることで、20年後には世の中の「お肉」の半分以上が、従来の畜産ではない「新しいタイプの代替肉」に切り替わるだろうと予想されています。
市場の半分以上が「培養ミート」や「植物性ミート」に切り替わるというのは、少しアグレッシブな見通しかもしれませんが、最近のベジミートの急速な広がりを見ていると、あながち遠い未来でもないのかもしれません。
まとめ:培養肉業界は大手企業や国家も参加する一大プロジェクトに成長中
食品業界の最大手であるネスレ社までもが参入を決めた培養肉業界。培養肉について、一早く動き出したのはシンガポールでしたが、中東のイスラエルからも参戦するスタートアップ企業がたくさん出てきています。
シンガポールの大学で、”代替肉学コース”が誕生!ヴィーガンを学べる学科のある大学
このFuture Meat社はイスラエル国内に、自社レストランも構えて「より多くの人に培養チキンの味を知ってもらいたい」と認知度UPに力を入れています。
日本ではまだまだ聞きなれない「培養肉」は、今後急速に広まっていくと期待されています。まだ研究室の中のものというイメージが強く、正直半信半疑という方も多いかもしれません。
しかし、昨今ベジミートが急速に普及して、コンビニやスーパーで手軽に買えるようになったスピードを見ていると、培養肉の方も身近な存在になる日も近いかもしれません。