普通のコットンと何が違う?オーガニックコットンの特徴やメリットを解説
ナチュラル系ブランドやベビー用品でのメディア露出が多いことから、オーガニックコットンは、何となく「環境に良さそう」、「肌に優しそう」というイメージがついています。
実はこれ、半分正解で半分不正解なんです。今回は、オーガニックコットンがなぜ環境や健康面において良しとされているのか、改めて解説いたします。
実際のところ品質はどうなの?どんな違いがあるのか、なぜ選ばれるのか、オーガニックコットンについて徹底解説します。
オーガニックコットンって?
コットン畑と言えば、一般的に、このような写真や映像を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
資料イメージでよく見る写真ですね。
しかし、よく考えてみると、植物の畑にしては、少し不自然な点があることに気づきます。
写真:一般的なコットン畑 引用元:日本オーガニックコットン協会
では、次の写真はどうでしょう。
青々とした葉が畑を覆いつくすように広がり、とても豊かな農作物の姿ですね。
写真:オーガニックコットン畑 引用元:日本オーガニックコットン協会
この違いは何でしょうか。
実は、1枚目の写真が通常のコットン畑、2枚目がオーガニックコットンの畑です。
あまり広く知られていませんが、一般的な綿花の栽培には、非常に多くの農薬が使用されています。
収穫前に使われる農薬の一つ、枯葉剤が使用された時の様子の違いがよく見て取れます。
オーガニックの定義
オーガニック(有機)とは、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず、自然界の力を活かした農法で栽培・収穫された農産物であり、その栽培、加工、流通などすべての段階で、第三者機関が厳しくチェックし、証明して有機認証が与えられます。
国によって定義は多少異なりますが、日本では以下のように定義づけられています。
“堆肥等による土作りを行い、播種・植付け前2年以上及び栽培中に、原則として化学的肥料及び農薬は使用しないこと。 遺伝子組換え種苗は使用しないこと。”
引用元:農林水産省<有機食品の検査認証制度について>
普通のコットンと何が違う?
オーガニック農法の定義の通り、農薬を使わないのだから、環境に良いのは間違いありません。でも、本当に肌に優しいかというと…?
コットン畑は、世界の農地の約2%ほどに過ぎません。
しかし、世界の農薬使用量の約10%が、殺虫剤使用量の約25%が、コットン畑で使われていると言われています。
口に入るものではないので、農薬使用については厳格な規制がなく、商業目的に都合の良い薬品まみれになっているのが現状です。
コットンTシャツ1枚を作るのに、約150gの農薬が使用されているのに相当します。
つまり、「コットンは肌に優しい」というのは世間のイメージに過ぎないのです。
オーガニックコットンを選ぶ理由
オーガニックコットンと普通のコットンに、品質上の違いがないことについては全章で触れました。
では、価格の高いオーガニックコットンをあえて選ぶ理由は何でしょうか?
それは、綿花栽培に関わる人々の生活改善と、環境保全による、サステナビリティ向上が大きな目的です。
適正な価格でオーガニックコットン製品を購入することで、その価格以上の価値をもたらし、多くの人々をサポートできます。
生産に関わる人々の生活実態
綿花の80%以上は、中東やアフリカ、南米など、発展途上国の貧困農家で栽培されています。
生産国第1位のインドの綿花栽培農家。
彼らはまず、遺伝子組み換えの種や農薬、化学肥料を買うために、借金をするところからスタートします。
何らかの理由で不作に陥ると、借金が返済できず、そのプレッシャーから自殺をしてしまう人もいます。
残された家族には、インド政府から補償金が出るのですが、そのお金を目当てに自殺してしまう人もいるほど貧しいのです。
30分にひとり、年間で約25万人が命を落としており、そのほとんどが畑で農薬を飲んで自殺を図るのだそうです。
貧しいがゆえの児童労働も多く、40万人以上の子供たちが、学校にも通えず、大人よりもさらに安い賃金で、長時間働かされています。
その8割が14歳以下の女の子で、賃金は日給30ルピー(約75円)ほど。性的暴行の被害に遭うこともあります。
※コカ・コーラ600mlの価格が35ルピー
さらに、貧しい生産者は、マスクなど適切な防護をせずに農薬を直接浴びながら働いているため、がん、奇形児、脳腫瘍などの健康被害発生が多発しています。
貧困のため十分な医療を受けられずに苦しみ、その平均寿命は35歳ほどと言われています。
写真:枯葉剤被害により誕生したベトナムの結合双生児 フォトジャーナリスト 中村梧郎さん
収穫時に使用される枯葉剤:
ベトナム戦争時、アメリカ軍が耕作地域の破壊を目的として散布した化学兵器。
400万人のベトナム人が被害に遭い、先天性異常児出産が相次いだ。
オーガニックが叶える環境保全
農法を有機栽培に切り替えると、生産者のサポートだけでなく、多方面での環境保全が可能になり、サステイナブルな環境を維持できます。
綿花栽培に使用される、過度で不適切な殺虫剤、除草剤、化学肥料、枯葉剤、遺伝子組み換えの種。
これらを使用しないことで、生態系を壊さず、持続可能な農地を作り、地下水汚染を防ぐことができます。また、農薬や化学肥料の製造で排出される、CO2の削減にも繋がります。
さらにコットンは生分解性が高く、リサイクルも可能。
化学繊維のようにマイクロプラスチックになることもなく、海洋汚染に繋がりません。