オーガニックは環境問題に良い?その理由を徹底解説
食品だけではなく化粧品でもよく聞く「オーガニック」というワード。みなさんはどんな印象を持っていますか?なんとなく健康に良さそうというイメージを持たれる方が多いと思いますが、実はオーガニックは環境にとっても良いものなのです。今回は、健康にいいだけじゃなく、実は環境にもやさしいオーガニックについて解説いたします。
食、環境問題などに関心のあるみなさんはオーガニックをすでに取り入れられている方も少なくないと思います。
今回は、健康にいいだけじゃない!実は環境にもいい“オーガニック”というテーマでお送りします。
そもそも“オーガニック”とは
日本語で“有機”という意味です。
添加物や保存料なしに加工・包装され、遺伝子組み換えを行わずに栽培された作物のことを指します。
農薬については、実は全くのゼロ使用ということではなく、定められた有機農薬は使用していいことになっています。
有機たりうるには、たい肥等で土作りを行い、種まき又は植え付けの2年前から禁止された農薬や化学肥料を使用しないこと、遺伝子組み換えの種ではないこと、などが条件として挙げられます。
日本でオーガニックを名乗るには、有機食品のJASに適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査し、その結果、認証された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
参照:農林水産省
日本では、オーガニックは健康にいい、とよく言われてますが、正確には一般食品より安全性が高い、という趣旨のもので、元々は「環境への負荷をできる限り少なくする方法で生産された食品」であると農林水産省のHPでも言われているように、環境負荷低減が目的です。
つまりオーガニック商品は、環境の負担を極力減らす目的に持続可能な方法で育てられたもの、もしくはその加工品になります。
オーガニックはなぜ環境にもいいのか。
地球温暖化防止効果がある
有機物を使用した土づくりは炭素を増加させるため、結果的に慣行農業よりも地球温暖化対策として適していると言えます。(参照:農林水産省)
また有機物を含んだ栄養たっぷりの土は、団粒構造と呼ばれる土壌になり、通気性、 排水性、 保水性が良くなるそうです。(参照:有機農業の基礎知識)保水性、排水性の両面で機能するため災害時にも慣行農業より生産量を維持できると言われています。
他にも、そもそも化学合成肥料を使用しないため、化学合成肥料を作成する際にでる二酸化炭素が軽減できるという点もあります。
米ロデール研究所が行った約40年間に及ぶ研究では、有機農業と慣行農業を比較した場合、慣行農業のほうがエネルギー使用量が45%多く、炭素排出量が40%多くなるという結果が出ています。(参照:地球温暖化を解決するために「オーガニック」ができること)
生物多様性の保全効果がある
慣行農業は農薬、化学肥料などで虫除けや除草をしますが、その作業は同時に、土壌の生物や排除不要な植物にまで影響を及ぼしてしまいます。
食料を作るために必要不可欠なのは昆虫や蜂による受粉ですが、農薬を使用することで雑草や害虫以外の想定外の昆虫にも被害がでてしまいます。
地球上の昆虫は毎年減少しており、この傾向が続けば昆虫が地球からはいなくなり、生態系が壊れそもそも食料を作ることすら難しくなるかもしれません。
一方、環境にやさしい農業を営んでいる周りには多くの生物が住むという研究結果がでており、オーガニックな農法が生物多様性の保全に効果的であると言えます。(参照:農林水産省)
SDGsとの関係性
SDGsに関して、IFORM(国際有機農業運動連盟)によると、オーガニックな方法による農業は、下記4点に貢献していると言えます。
3 すべての人に健康と福祉を
化学肥料、農薬の使用削減による水質汚染防止などで人々の健康につながること
12 つくる責任つかう責任
有機食品の購買行動が持続可能な食料生産へとつながること
13気候変動に具体的な対策を
適切な土壌管理が二酸化炭素を軽減させ温暖化防止につながること
15 陸の豊かさも守ろう
生態系の維持、生物多様性保全につながること
今後の展望
日本のオーガニック市場は世界と比べるとまだ規模は小さいですが、着実に伸長しています。
最近では大手スーパーでもオーガニック食品コーナーが設けられたり、コンビニでもオーガニックバナナが売られていたりと日常生活で目にする機会も増えてきました。
オーガニック野菜は、まだ生産量が少ないこと、販売チャネルも限られていることで通常品より価格は高いと感じられるかもしれませんが、ローカルなファーマーズマーケットで農家さんから直接買ったり、今ではオンラインでも農家さんとつながることができます。
また有機JASは取得費用もかかるので、あえて認証登録を申請せず、独自で無農薬、無化学肥料もしくは減農薬の農業に取り組まれている農家さんや、それぞれこだわりや思いをもって伝えられている農家さんもいらっしゃいます。
今回重点を置いた環境視点でももちろん、健康という視点でも、まずは食べるものを少しずつオーガニックなものに変えてみるなど、ご自身で取り入れられる範囲で挑戦してみてはいかがでしょうか。