古代インカの高栄養価作物「キヌア」が、美味しくサステナブルな究極のスーパーフードである理由を徹底解説
とくにすぐれた栄養価を持つキヌアは、近年注目されている食べ物です。スーパーフードとよばれるキヌアには、一体どのような特徴があるのでしょうか?みなさんに、ご紹介させていただきます。
古代インカ帝国の皇帝が自ら栽培したほど貴重なキヌアは、近年では、アメリカやヨーロッパでも注目されています。
究極のスーパーフードとも称されるキヌアの詳細について、詳しく解説します。
究極のスーパーフード、キヌアとは
栄養をたっぷり含んだ穀物「キヌア」は、スーパーフードの一つとしても知られています。
スーパーフードとは、栄養価が高く、健康や美容への効果が認められており、昔から長寿や健康回復に効くと信じられてきた食品のことです。
はるか昔から何世紀にもわたり、現地の人々の健康維持に寄与してきた食品が、スーパーフードとして評価、認知されているのです。
また、他のスーパーフードと同様、キヌアにも文化的な背景や、長い歴史があります。
究極のスーパーフードといわれるキヌアの歴史や、私たちの身体に与えるメリットなどを、あわせてご紹介させていただきます。
酵母の母、キヌアの歴史
キヌアは、ほうれん草やビートと同じ、ヒユ科アカザ亜科の植物で、ヒエやアワなどと同様の雑穀に分類されます。
アンデス山脈一帯が原産国であるキヌアは、紀元前5~7000年前頃、まず野生種の摂取が始まり、3~4000年前に、栽培が始まったとされる穀物です。
インカ帝国時代の人々の間で、長い間主食とされてきたキヌアは「酵母の母」や「金の穀物」などと称され、貴重な作物として大切に栽培されていました。
ボリビアのインカ帝国の遺跡には、キヌアを貯蔵するための倉庫なども見つかっています。
しかし、15世紀に入り、インカの地がスペインの植民地になると、キヌアは「先住民の食べ物」とされ、ほとんど栽培されなくなり、代わりに小麦が人々の主食になりました。
こうして一時は栽培も途絶えがちになってしまう事態に追い込まれたキヌアですが、1970年代に入り「アメリカ科学アカデミー」によって、栄養価の高い将来有望な穀物としてキヌアがとり上げられると、再び栽培されるようになったのです。
その後、ペルー、ボリビアなどのアンデス山系で、再びキヌアの栽培が広がっていき、やがてアメリカやヨーロッパ諸国でも、キヌアの特性や栄養価に対する研究が行われるようになりました。
さらに近年では、宇宙空間の長期間作業における、環境管理と食糧供給に適した作物候補にキヌアが挙げられていると、NASAから発表されています。
NASAも認める万能栄養食品
1993年、キヌアの高い栄養価が「NASA」に認められ、宇宙食として採用されました。
NASAが「21世紀の主要食」と認めるほどのキヌアの栄養素は、白米や、健康に良いとされる玄米と比べてみても、明らかに差があります。
100g当たり | 白米 | 玄米 | キヌア |
カロリー | 342㎉ | 353㎉ | 344㎉ |
食物繊維 | 0.5g | 3g | 6.2g |
ビタミンB1 | 0.08㎎ | 0.41㎎ | 0.45㎎ |
鉄分 | 0.8㎎ | 2.1g | 4.3㎎ |
※日本食品標準成分表参照
キヌアには、食物繊維や鉄分、カルシウムなど、とくに白米に不足しがちな栄養素が多く含まれています。
さらに、穀物全般に不足しがちなタンパク質や、体内で合成されない必須アミノ酸9種類や脂質、ビタミンやミネラルも豊富に含まれるため、アンデス原産の万能食品ともいわれているのです。