日本発、廃棄コーヒー豆をアップサイクルしたヴィーガンのコーヒーレザーをご紹介
日本発、廃棄コーヒー豆をアップサイクルした新素材が誕生。今回は注目のヴィーガンコーヒーレザーについてご紹介していきます。
パイナップルや、りんご、マッシュルーム、サボテンなど様々な素材のヴィーガンレザーが開発されており、日本でもヴィーガンレザーを扱うブランド・企業が増えてきています。
(上記のような素材を使用したヴィーガンレザーを扱う日本企業についてはこちらの記事でご紹介しています。)
そんな中、レザー雑貨ブランドのステータシー株式会社が、国内初となる「廃棄コーヒー豆を再利用したヴィーガンレザー」を発表。
今回は、そんな廃棄コーヒー豆をアップサイクルした日本発のヴィーガンのコーヒーレザーについてご紹介していきます。
目次
廃棄コーヒーを活用したヴィーガンレザー事業に取り組むブランド「STATUSY」
STATUSY(以下ステータシー)株式会社は、オリジナル革製品の企画・デザイン・販売を行う会社です。
ブランド名は「革製品といえばメイドインジャパンがスタンダードになってほしい」という想いを込めて、「ステータス」を形容詞的に造語化して名付けられています。
代表取締役の田中比呂達氏が妻へ手作りのキーケースをプレゼントしたことがきっかけで、副業としてオリジナル革製品の製作を始めました。
後に法人化し、主製品である「il modo」「il modo ZIP」は国内ファンディングサイトで革財布・革小物の歴代最高額などを記録。
そして、2022年4月にアップサイクル(再利用)レザー事業の立ち上げを発表しました。
その結果、廃棄コーヒー豆を高品質かつ長尺の合成皮革へと改新させることに成功し、2023年国内初の販売を開始します。
なぜコーヒーに着目したのか?解決策が求められるコーヒーの廃棄問題
ステータシーがヴィーガンレザーを開発するにあたってコーヒーに着目した一番の理由は、「身近で廃棄が多い食品である」という点です。
全日本コーヒー協会発表の「日本のコーヒー需給表」によると、2022年の日本国内におけるコーヒー消費量は42万トン以上。もちろん、消費量に伴って大量のコーヒーかすが廃棄されています。
コーヒーの消費によって排出されたコーヒーかす以外にも、焼き過ぎなどの焙煎不良や搬出時に割れた豆、包装時に出る端数品など販売できずに廃棄されるコーヒー豆を含めると、さらに大量の廃棄量に及ぶことが推定できます。
しかも、抽出済みのコーヒーかすは温室効果ガスの一種であるメタンガスを発生させます。
水分を含むコーヒーかすは膨大な焼却エネルギーや埋め立て処分場を必要とし、焼却する際には二酸化炭素も発生します。
このように、コーヒーのかすの廃棄が問題視されていることから、ステータシーはコーヒー豆やコーヒーかすを再利用する取り組みとしてヴィーガンレザー開発をスタートさせました。
国内初!廃棄コーヒー豆をアップサイクルしたヴィーガンレザー
ステータシーが開発したコーヒーレザーは、コーヒーの焙煎時などに発生する規格外品の廃棄豆や、抽出後のコーヒー残渣(コーヒーかす)を再利用した新素材です。
廃棄豆そのものを微粉砕して素材に再利用した長尺のコーヒーヴィーガンレザーは、国内で初めてとなります。
このコーヒーレザーの大きな特徴として、消臭・抗菌効果が認められている点が挙げられます。
コーヒーレザーはコーヒーの香りがほのかに残っており、検査機関の消臭性試験で合格基準を大きく上回る結果を得ています。
研究機関による臭気成分減少率を調べる検査によると、体臭(汗や足の臭いなど)や加齢臭の原因と言われているアンモニア、酢酸、イソ吉草酸の臭気成分の減少が認められました。
さらに、この技術の応用では、水分を含んだ抽出後のコーヒーかすも同等に合成皮革へと改質できる見通しです。
今後アパレル製品をはじめ、家具や壁紙、車両向けシート素材など利用の幅がさらに広がることが期待されています。
まとめ
食品ロスや食品加工に伴う廃棄物を有効活用し、機能的な素材へとアップサイクルさせたステータシーのコーヒーレザー。
今回ご紹介したヴィーガンレザーは、2023年のテスト販売に向けて品質チェックの段階に進んでいるそう。
さまざまな用途への活用が期待されていることもあり、メイドインジャパンのヴィーガンレザーとして、食品ロスの削減や消費者のサステナビリティに対する意識の向上に大きな役割を担ってくれそうです。
公式ホームページ: STATUSY(ステータシー) | 日本製の革財布・革小物 – 革財布・革小物 STATUSY
参考:PR TIMES 【“食品廃棄問題”と“嫌な臭い問題”を解決】国内初「コーヒーレザー」廃棄コーヒーが合成皮革に!サステナブルなヴィーガン素材で食品ロス削減|ステータシー株式会社のプレスリリース
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