家具やファッションの接着剤はヴィーガンじゃない?見落としがちな接着剤について解説
環境・健康に良くないものや動物由来の素材が使われていたりと、なにかと見落としがちな接着剤について解説。ヴィーガンの家具やファッションアイテムを選ぶ際のポイントまで、詳しくご紹介します。
それは、使われている接着剤が動物由来のものである可能性があるからです。
そこで今回は、家具やファッションで使われる接着剤に関してや、どんな接着剤がヴィーガンであるかなどをご紹介します。
接着剤とはどのようなもの?
皆さんは、そもそも接着剤というものについて深く考えたことがあるでしょうか。
スティックのりからボンド、建材として使われるものまで様々な種類がある接着剤。何からできているのか、健康への影響はあるのかなど、専門家でない限り意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
接着剤って何からできている?
接着剤の原料は幅広く、大きく分けて無機系接着剤と有機系接着剤があります。
無機系接着剤は、水ガラスやセメントなど、鉱物の一種から作られるものです。一方で、有機系接着剤は、ゴムやにかわなど、生物由来の成分から作られるものです。
ヴィーガンが特に気を付けなければならないのは、後者の有機系接着剤です。動物由来のことが多いため、成分を良く確認する必要があります。
接着剤に含まれる成分は毒性がある?
接着剤の毒性に関しては、厚生労働省が定めた有機溶剤中毒予防規則があります。特に毒性が強いベンゼンなどは規制対象ですが、現在市販されている接着剤には含まれていません。
しかし、現在よく使われているトルエンは大量に吸引すると毒性を発揮するので注意が必要です。通常よほどのことがない限り、トルエンの大量吸引はありえないことですが、塗料など有機溶剤を扱う際には大量吸引の可能性がありますので、特に注意が必要です。
日本接着剤工業会はトルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレンの4つの物質に厳しい基準を設け「4VOC基準適合」の表示と証明書の発行を行うことで、安全を保証しています。
また、接着剤に特別な機能を加えることなどを付与する目的で、老化防止剤・酸化防止剤・防腐剤・消泡剤・難燃剤・防カビ剤・香料など添加物が使われているものがあるので注意が必要です。
*VOCとは揮発性有機化合物のことで有害物質です。
接着剤の主成分による分類
1. 無機系接着剤
セメントの他、1000℃以上の高温に耐えるものがありますが、現在は少数派となっています。炭素を含まない鉱物から生成されています。(例外として炭素単体(ダイヤモンド)、炭素酸化物あり)
- 水ガラス
珪酸ソーダ系 無臭ですが酸味が強く刺激性があります。誤飲に特に注意が必要です。 - セメント
ポルトランドセメント・漆喰(しっくい)・石膏(せっこう)・マグネシウムセメント・リサージセメント歯科用セメント - セラミック
セラミック系
2. 有機系接着剤
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有機系接着剤は炭素を中心とした物質で天然系と合成系があります。
A. 天然系
- 天然系 でんぷん系・天然ゴム系・アスファルト
- 蛋白系 にかわ・カゼイン・アルブミン・大豆タンパク
天然系の接着剤でも、にかわ類は動物の皮や骨等を原料としています。これらを水と共に加熱して製造した有機たんぱく質で、コラーゲンという繊維質になります。
その他にも、カゼインやアルブミンなどは避ける必要があります。
カゼイン
牛乳やチーズなどに含まれるリンタンパクの一種で、カゼインプラスチックなどや接着剤の材料になります。
アルブミン
卵由来のもの。アルブミンを使用した接着剤は外科用に使われることが多く、動物由来となります。
これらは天然素材とはいえ、動物性素材となるため、ヴィーガンは避けたいものです。物を選ぶ必要があります。
B. 合成系
- 熱可塑性樹脂系
温度が変わることで形状が変更できるアクリル樹脂系接着剤やシアノアクリレート系接着剤。酢酸ビニル樹脂系・ポリビニル樹脂・エチレン酢酸ビニル樹脂・塩化ビニル樹脂・アクリル樹脂・ポロアミド樹脂・セルロース系・ポリビニルピロリドン系・ポリスチレン系・シアノアクリレート系・ポリビニルアセタール系
- 熱硬化性樹脂系
温度の形状が変わらない接着剤。エポキシ樹脂系・ウレタン樹脂系・ポリアロマティック系・構造用アクリル樹脂系・ユリア樹脂系・メラミン樹脂系・フェノール樹脂系・レゾルシノール樹
- エラストマー系
弾性を持つ高分子でシリコーン樹脂系接着剤や変成シリコーン樹脂系接着剤など。クロロプレンゴム系・ニトリルゴム系・スチレンブタジエンゴム系・熱可塑性エラストマー系・プチルゴム系・シリコーン系・変性シリコーン系・ウレタンゴム系・ポリサルファイド系・アクリルゴム系