ロブスターを食べるとクジラが危機陥る?生態系を守るヴィーガンロブスターをご紹介
北大西洋のセミクジラが危機に瀕しており、その責任はロブスター産業にあると言われています。 ロブスター代わりにヴィーガンロブスターを試す時が来ているのかもしれません。
フランスのマクロン大統領が出席し、フランスとアメリカの関係を祝うことを目的としたこのイベントを記念して、米国のロブスター産業の中心地であるメイン州から約200匹の生きたロブスターが空輸され、公式晩餐会で振る舞われました。
しかし、この権威あるイベントでロブスターを提供するという選択は、論争を巻き起こしたのをご存知でしょうか。
理由は、ロブスターを生きたまま茹でることは非人道的であることを研究が示唆しているからだけでなく、ロブスターを大量に捕まえることが別の種である北大西洋のセミクジラに大きな影響を与えているからです。
目次
セミクジラが海に約340頭しか残っていない
バイデン大統領の公式晩餐会は、多くの活動家や環境保護主義者を激怒させました。
北大西洋セミクジラは、体長13〜18メートル、体重は約60〜80トンで、世界で最も絶滅の危機に瀕している大型クジラ種の1つ。
最新の暫定的な見積もりでは、残っているのは350未満であることが示唆されています。
そして2022年、科学に基づいて作られるシーフードのサステナビリティ(漁業資源の持続可能性)格付けリストSeafood Watch(シーフードウォッチ)に、アメリカンロブスターを「避ける」に追加。
活動家や環境保護主義者が激怒した理由は、この二つの相互関係にあります。
ロブスターを捕獲する際に、たくさんのセミクジラが犠牲になっているのです。
ロブスタートラップはクジラを殺している?
アメリカのロブスター産業は大きな市場です。
2022年には、記録的な7億2,500万ドル相当の甲殻類が、メイン州の漁港に運ばれました。
ロブスターを捕獲するための漁具、海中のロブスタートラップと浮きブイをつなぐ釣りロープが、セミクジラに絡まってしまい、皮膚に裂傷を引き起こし、水面に上がって呼吸することが困難になります。
さらに、罠に絡まってしまったセミクジラは必死に罠を取り除こうとし、多大なストレスにさらされており、セミクジラの個体数を減少させている一因となっています。
マサチューセッツ州にあるNew England Aquarium(ニューイングランド水族館)の科学者の1人であるエイミー・ノウルトン氏は、セミクジラがロブスターの罠に引っかかるのを見るのは「胸が張り裂けるような光景」だったと語っています。
ロブスター産業の規制
ロブスターの晩餐会を開くことからもわかるように、アメリカ政治家たちはこの状況を改善しようとはしていません。
少なくとも2028年まで、メイン州のロブスター漁において、セミクジラが危険な状況に陥る漁具を使用し続けることを許可する条項を認めています。
生物多様性センターによると、これは北大西洋のセミクジラを絶滅に追いやる可能性があるそうです。
しかし、連邦政府の規制当局は、セミクジラに絡まった時にすぐほどけるようなロープを使用、もしくは釣りロープの本数を減らすなどをロブスター産業に求め始めています。
他にも、ロブスター産業はサステナブルではないことから大手食品スーパーのホールフーズも、販売を一時停止しています。
同様に、大手食材宅配サービス会社Blue Apron(ブルー・エプロン)と、Hello Fresh(ヘロー・フレッシュ)もロブスターをメニューから外しました。
一方、メイン州のロブスター漁業者協会とメイン州議会は、このような規制が何千人ものロブスターの漁師の生活を脅かし、2021年に、7億7500万ドル相当の漁獲量もたらした重要な産業に打撃を与えかねないとして、反発しています。
セミクジラが絶滅したらどうなる?
セミクジラが絶滅の危機から立ち直るのが難しいのは、繁殖率が非常に低いためです。
近年、小さな改善が見られましたが、セミクジラ人口を救うにはまだ十分ではありません。
2018年には子クジラの確認はできませんでしたが、2021年には13頭、そして2022年には8頭の子クジラが確認されています。
メスのセミクジラは約10歳で性的に成熟し、1年間の妊娠の後、1頭の子を産みます。
セミクジラの出産間隔は、3年が正常または健全な間隔と考えられていますが、今では平均して、メスは6~10年ごとに子を産んでいます。
生物学者は、もつれによって引き起こされるストレスが、メスの分娩頻度が低い理由の 1 つであると考えています。
ヴィーガンロブスターの紹介
Lily’s Vegan Pantry
以前は May Wah Vegetarian Market(メイウェイベジタリアンマーケット)として知られていた、ニューヨークに本拠を置く Lily’s Vegan Pantry(リリーズヴィーガンパントリー。)
リリーズヴィーガンパントリーでは、さまざまなヴィーガンシーフード製品を提供しています。
同社のヴィーガンロブスターは、ヤムイモ粉で作られており、形もロブスターのような形をしています。
Lord of Tofu
ドイツのヴィーガン食品ブランドのLord of Tofu(ロードオブトーフ)は、名前の通り豆腐を使用して作られるヴィーガン食品を、ドイツ、フランス、そしてスイスに提供しています。
豆腐やヴィーガン肉はもちろん、ヴィーガンチーズからバーベキュー製品、そしてヴィーガンシーフードまで、たくさんのヴィーガン食品を販売。
ロードオブトーフの豆腐は、コンブチャを用いて発酵させて作るという、独特な製造方法から作られています。
もちろん同社が作るヴィーガンロブスターも、豆腐から作られています。
まとめ
セミクジラの個体数が回復できなければ、その種は絶滅してしまいます。
その結果は壊滅的なものになるでしょう。
それは人類のせいであるだけでなく、重要な海洋生態系を破壊することを意味しています。
セミクジラは排泄物を通して海中に栄養素を再分配し、彼らが死ぬことにより海の他の生物の食物源となっているからです。
セミクジラを救うには、いくつかの異なる解決策が必要です。
そのうちの1つは、ロブスター産業の規制と、捕獲方法の変更。
そして、もう一つはロブスターではなくヴィーガンロブスターを購入することです。
ヴィーガンシーフード産業は成長しています。
現在、植物ベースのエビやマグロの代替品ほど多くのヴィーガンロブスター製品はありません。しかし、この分野での研究開発が続くにつれて、それは変わる可能性は大でしょう。
参考記事
Right Whale Population Declines for 10th Straight Year
Save whales or eat lobster? The battle reaches the White House
What makes the right whale right
?
合わせて読みたい
地球にとってサメは木よりも重要?サメについて知っておくべき正しい知識を詳しく解説