ヴィーガンと健康|WHOも認める赤肉摂取とがんリスクの関係について解説
WHOの報告で認められた、赤肉・加工肉はがんのリスクを高める可能性について、研究データに基づき徹底解説。その科学的根拠や理由をご紹介します。
WHOも認める赤肉・加工肉摂取とがんリスクの関係とは?
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WHOの2015年の報告によると、赤肉・加工肉はがんのリスクを高める可能性があると認めています。
この発表は、WHOの外部組織であるIARC(国際ガン研究機関)の研究結果によるものです。
IARC(国際ガン研究機関)主催の10か国、22人の専門家による会議において、赤肉と加工肉の及ぼす人へのがんリスクに関しての評価がされました。
この評価は、全世界地域の人を対象として行われ、疫学研究・動物実験研究・メカニズム研究からなる科学的根拠を基本とした総合的な判定となります。
その結果は以下の通りです。
- 赤肉
→疫学研究からの証拠は限定的ではあるが、メカニズムを裏付ける然るべき証拠があることから、「おそらくヒトに対して発がん性がある(Group2A)」と判定。 - 加工肉
→疫学研究においての主に大腸がんに対する十分な証拠に基づいて、「ヒトに対して発がん性がある(Group1)」と判定。
Group 1・・・ヒトに対して発がん性がある :ヒトにおいて「発がん性の十分な証拠」がある。
Group 2A・・・ヒトに対しておそらく発がん性がある :ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」があり、実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある。
赤肉とは、牛肉・子牛・豚肉・子羊・羊・馬、およびヤギを含む、全ての哺乳動物の筋肉の肉を指します。
※赤肉(Red meat )は、牛・豚・羊・馬などの肉を指し、脂肪分が少ない部位を示す「赤身肉」とは異なります。
加工肉とは、塩漬け・熟成・発酵・燻製などの加工により風味を増し、保存性を高めたものを指します。
ほとんどの加工肉には、豚肉や牛肉が含まれていますが、赤身肉・家禽肉・内臓肉・血液などの肉副産物も含まれていることがあります。
加工肉の例としては、ホットドッグ(フランクフルト)・ハム・ソーセージ・コンビーフ・ビルトン(肉に味付けをして乾燥させた南アフリカ式の干し肉)またはビーフジャーキー、ならびに缶詰肉および肉ベースの調製物およびソースが挙げられます。
赤肉・加工肉摂取とがんリスクの科学的根拠
赤肉の摂取と、大腸がん発症は相関する事を示す限定的な研究証拠が認められており、膵臓がんと前立腺がんとの関連を示す科学的根拠もあります。
加工肉を食べる事で大腸がんを引き起こすと結論付け、胃がんとの関連も認められたようですが、科学的根拠は決定的ではないようです。
また、加工肉を1日に50g摂取することで、大腸がんのリスクが18%高まる点も明記されています。
赤肉の摂取に関連するがんリスクは、赤肉ががんを引き起こすという科学的根拠がそれほど強くないため、推定がより困難です。
仮に、赤肉と大腸がんの関連が証明された場合、同じ研究から得られたデータによると、毎日摂取される赤肉100g分ごとに、大腸がんのリスクが17%増加する可能性があることが示唆されています。
また、独立した学術研究機関であるGlobal Burden of Disease Projectの最新の推定によると、世界中で年間約34,000人のがんによる死亡は、加工肉を多く含む食事に起因しています。
赤肉を食べることは、まだがんの原因として確立されていません。
しかし、報告された関連性が証明された場合、赤肉を多く含む食事が世界中で年間50,000人のがんによる死亡の原因となる可能性があると推定しています。
(出典:WHO「Cancer: Carcinogenicity of the consumption of red meat and processed meat」)
このように、赤肉・加工肉を毎日食べ続ける事でのがんリスクは、一部限定的ではあるものの認められているようですから、まずは、摂取量から見直すべきだと言えるでしょう。
赤肉・加工肉ががんの原因となる理由は?
それでは何故、赤肉・加工肉を摂取するとがんのリスクが高まるのか、その理由の1つを以下にご紹介します。
Cancer Research UKによりますと、がんリスクが高まる理由として、以下を挙げています。
これまで行われた研究では、以下3種類の化学物質が大腸がんのリスク増加に関連しているとされます。
これらの化学物質は、肉に自然に含まれているか、加工過程で添加されるか、調理時に生成されます。
- ヘム(主に赤肉に多く含まれる赤い色素)
- 硝酸塩と亜硝酸塩(加工肉の鮮度を維持するためや、防腐のために使用される)
- 複素環式アミンと多環式アミン(肉を高温調理することで生成される)
上記3種類の化学物質は、いずれも腸の細胞に損傷を与える可能性があり、この損傷が時間とともに蓄積することでガンのリスクが高まります。
ベーコンやソーセージ、サラミなどの加工肉は、塩や保存料が加えられ、くん製や乾燥といった方法で加工されています。
このような、加工過程に関わる化学物質ががんリスクを高めると考えられているようです。
また、高温で調理されるバーベキューなども、発がん性物質を作り出すと言われています。