一家に一台の3Dプリンターが一般的に?ヴィーガン料理と食卓に革命を起こす「近未来的デジタル調理」を徹底解説
さまざまな食べ物を一つの機械で作り出すことのできる、3Ⅾフードプリンターの研究開発が進められています。NASAも注目する、最先端の技術を駆使したデジタル調理とは?その詳細を解説させていただきます。
宇宙食にも採用される
2013年、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、3Dフードプリンターを開発する企業に多額の助成金援助を行いました。
宇宙飛行士たちは、無重力空間で長期間にわたる生活を送る必要があります。
大量のストックが必要とされる宇宙食には、保存期間が長く、衛生面に配慮された食材が採用されてきました。
いずれは宇宙空間でも自給自足の食生活を送ることができるよう、NASAでは「野菜栽培プロジェクト」を実行し、宇宙空間で栽培したレタスの収穫に成功しています。
さらに、2019年、イスラエルで急成長中の企業「アレフ・ファーズ」が、国際宇宙ステーションに到着した牛の細胞を培養し、3Ⅾフードプリンターを使ってステーキ肉を作り出す実験を成功させています。
カートリッジに粉末状のタンパク質や脂肪などをセットすることで、さまざまな形や食感の食べものを出力することのできる3Ⅾフードプリンターを使うことで、様々な料理を作り出すことができます。
材料をセットするだけで「立体的な食事を誰もが作ることができる」3Ⅾフードプリンターは、宇宙食を作り出すのにも適した近未来デジタル調理装置なのです。
人口増加による食糧危機を救う
現在、地球上の人口は推定80億人とされていますが、このままいくと、2060年頃には100億人を突破するという見通しが立っています。
急激な人口の増加は食糧危機をもたらすとされ、ユニセフ協会によれば、2030年には、およそ6億7,000万人近の人々が飢餓に直面すると予測されています。
3Ⅾフードプリンターは、野菜のくずや規格外の食材などを粉にしたものを、ペースト状にして使うことができるため、フードロスを削減する事ができますし、原料の長期的な保存が可能です。
また、地球環境への負担の少ないプラントベースの代替肉や、細胞を培養して作られた肉を、安定供給することもできます。
今後、3Ⅾフードプリンターが一家に一台、デジタル調理家電として普及するようになれば、調理時間の短縮ができるだけではなく、人口増加による食糧危機も救うことができるかもしれません。
食品用3Ⅾプリンターが未来の食卓を変える
少子高齢化社会の日本国内では、介護現場で使用可能な3Ⅾフードプリンターの試験的導入が進んでいます。
とくにお年寄りの場合、嚙む力が弱くなっていたり、持病を抱えている場合も多く、個人の状態に合った食事の摂取が必要になります。
一般家庭では対応が難しい食事の問題も、必要カロリーや栄養素、やわらかさなどが調整できる3Ⅾフードプリンターがあれば、それぞれ個人に合ったメニューを手軽に作れるようになるでしょう。
もちろん、卵やハチミツ、乳製品を含む動物由来の食品を一切摂取しない「ヴィーガンメニュー」をつくることもできます。
SDGsを達成させるため、実用化が進む3Ⅾフードプリンターは、未来の食卓を、よりよく明るいものに導いてくれることでしょう。
まとめ
介護食からお菓子、代替肉に至るまで、3Ⅾフードプリンターを使った安心安全なデジタル調理メニューは、フードロスを削減し、SDGsへの貢献が期待されます。
また、3Ⅾフードプリンターで作られたプラントベースの代替肉が、今後市場に広く流通することになれば、食肉のために犠牲になる動物の数を減らすことができるようになります。
3Ⅾフードプリンターを使ったデジタル調理で作られた料理が、徐々に介護施設やレストランなどで提供されるようになってきました。
実用化が進む3Ⅾフードプリンターは、やがて一般的な調理用品となり、いずれは一般家庭にも普及していくことでしょう。
ハッピーキヌアヴィーガンメディアのこちらの記事も、ぜひご参考になさってください。