脱炭素って知ってる?内容と身近で取り入れる事ができる実現方法を徹底解説
近年話題となっている「脱炭素社会」の実現は気候変動などの環境問題の解決に大きく関わります。では消費者の私たちには何ができるのでしょうか?脱炭素の意味と身近に取り入れる事ができる簡単なアクションを徹底解説していきます。
目次
脱炭素に関わる協定やサミット
年々深刻化していく地球温暖化を抑制するため、毎年世界中で気候変動に対する国際会議が行われ、さまざまな目標や枠組条約が取り決められてきました。
本日はその中から、特に大きな前進となった協定やサミット、出来事をご紹介します。
「国連気候変動枠組条約締約国会議:COP」
まず、「国連気候変動枠組条約締約国会議」通称COP(コップ)と呼ばれる国際会議は、気候変動に対する目標を取り決める場として大変重要です。
漢字が多くて難しそうに聞こえるかもしれませんが、この会議では、世界中で地球温暖化の緩和に取り組んでいこうという目標を軸に、さまざまな対策が議論されます。
1995年より世界の各地で毎年開催されており、日本は環境大臣が全てのCOPに出席しています。
京都議定書(COP3)
過去には1997年12月に第3回COP(COP3)が、日本の京都で開催されました。
こちらの会議で、京都議定書と呼ばれる国際条約が採択されたのは、皆さんの多くもご存知ではないでしょうか?
主に先進国に対し、2008年から2012年の5年間で基準年の1990年と比較して5%以上の温室効果ガスを削減することが義務付けられました。日本の目標値は、6%と定められました。
しかし、温室効果ガスの排出量が多い先進国の取り組みを優先し、発展途上国に対しては削減が義務付けられませんでした。
また、法的拘束力を持ち、達成できなかった場合にペナルティが課される規約だったため、各国の温室効果ガス削減の目標値はあまり高く設定されなかったことが、課題として残りました。
このように、京都議定書の締約では課題が残りましたが、21世紀以降の地球温暖化問題に対して削減目標を取り決める初の機会となったため、今後の世界情勢の舵を取る大きな一歩になったと言えますよね。
(出典:京都議定書とは?合意内容とその後について |WWFジャパンl )
パリ協定(COP21)
京都でのCOP3以降もCOPは毎年開催され、地球温暖化に対する適応策が議論されてきましたが、史上的にも重要な会議となったのが、2015年12月、フランスのパリで開催されたCOP21です。
COP21では、初めて世界約200カ国が参加し、2020年度以降の温室効果ガスの排出量削減のための新たな国際的枠組みとして、パリ協定が採択されました。
共通の目標として、平均気温上昇を2℃未満に抑え、さらに1.5℃までに抑える努力をすること、そして、今世紀後半に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする(脱炭素)ことが打ち出されました。
また、パリ協定の目的は、率先して高い目標を設置し、達成のために最大限の努力をしていくことであるため、京都議定書のようにペナルティが課されることなく、様々な国が参加しやすいものであったことも特徴的です。
削減目標は5年ごとに提出、そして更新することが必要とされ、国際的なレビューを受けることになります。
日本は、2030年までに26%、2050年までに80%の温室効果ガスの削減を目標値にパリ協定に署名しました。
また、同年9月には、国連で持続可能な開発目標、SDGs*も採択されたため、世界中でサステナビリティに対する意識が高まり、2015年はサステナビリティ元年と言えるでしょう。
*SDGs;Sustainable Development Goals :持続可能な開発目標、地球上の誰一人取り残さないことを大きな目標として掲げ、17の目標と169のターゲットから構成される。
SDGsについてはぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
今さら聞けない「SDGs」とは|ヴィーガン必見のエシカルなトレンドを解説
(出典:パリ協定とは?脱炭素社会へ向けた世界の取り組み |WWFジャパン)
アメリカのパリ協定の脱退と復帰
パリ協定締約当初、二酸化炭素排出が世界2位となるアメリカは、2025年までに2005年と比較して、温室効果ガスの排出量を26%から28%を削減することを目標としていました。
しかし、2017年6月、トランプ政権下で取り決められたアメリカのパリ協定離脱が国連によって正式に受理され、気候変動に対して前向きに向かう世界各国にとって衝撃の事態となりました。
それに対し、バイデン大統領は大統領選挙活動時から、パリ協定の復帰を表明しており、就任式初日に国連に復帰を申請、そして、一ヶ月後の2月19日に正式に復帰が認められました。
そして、このアメリカのパリ協定への復帰が、のちに紹介する気候変動サミットへのきっかけなります。
菅内閣総理大臣の所信表明
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2020年10月、菅内閣が発足し、菅内閣総理大臣は、所信表明演説の中で、2050年までにグリーン社会、いわゆる、カーボンニュートラル、脱炭素社会を実現することを宣言しました。
菅首相は、環境対策を行うことは、社会経済を変革し、更なる成長を生み出すと主張しており、具体的には、グリーン社会に向けて、カーボンリサイクル*や、省エネルギーの徹底などさまざまな環境対策活動を遂行していくことを表明しました。
*カーボンリサイクル:炭素資源(カーボン)を再利用(リサイクル)する取り組み
(出典:令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ, カーボンリサイクルについて|資源エネルギー庁)
米国主催気候サミット
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気候変動サミットは、それぞれの国が地球温暖化に歯止めをかけるために挑戦していく目標を宣言する場です。
目標には、パリ協定同様、法的拘束力がないため、高い目標の設定がしやすく、そのことにより、目標に対してより前向きな姿勢を持ちやすくなります。
そして、米国のバイデン大統領主催により、今年2021年4月22日から23日にかけて行われた気候サミットは、世界40ヵ国の首脳が出席し、今後数十年の気候変動への道筋をあらわにする貴重な機会となりました。
日本からは、菅総理大臣が、2030年度までの温室効果ガスの排出量を、2013年度と比べて46%削減、そして、50%削減に向けて更なる対策を推進していく決意を表明しました。
パリ協定で日本が定めていた同年度の目標値は26%だったため、今回の設定値は7割以上の引き上げとなり、これはかなりの前進と言えるでしょう。
また、気候変動への取り組みは、社会や経済との調和、循環も大切になってきます。
菅総理大臣は、今回のサミットにて、政府が行う活動の中で、脱炭素電源などを最大限活用し、企業などにも投資を促す対策を考案していくことも宣言しました。
他国では、アメリカが、50%〜52%、カナダが、40%〜46%など、目標値の大幅な引き上げも目立ちました。
しかし、温室効果ガスの排出大国であるインドや中国は、脱炭素社会に向けての具体的な行動計画を示さなかったため、どれくらい踏み込んだ対策をしていくのか、今後注目されるでしょう。
(出典:気候サミット特集)
このように、2020年、そして2021年は今まで以上に、世界の気候変動への取り組みが活発になってきているように思います。
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アースデイ(地球の日)の声がけや意識も、例年以上に際立ちましたよね!
来たる脱炭素社会の目標年は2050年になりますが、これはSDGsのゴール13、「気候変動に具体的な政策を」にも深く関わっています。
実際、環境省でも、”2030年までの今後の10年間が重要”としており、これからの行動が大切になってくることは明らかです。
(引用:カーボンニュートラルとは – 脱炭素ポータル|環境省)
では、私たち消費者はどのように脱炭素社会のために何ができるのでしょうか?
(出典:気候変動|外務省, 主要国の温室効果ガスの削減目標と実績|データ集|一般社団法人 海外電力調査会(JEPIC),