1990年後半~2000年代に生まれた世代の総称であるGenZ=Generation Z。
直訳して「Z世代」と呼ばれる人々は、生まれたときからデジタル端末に触れた、新たな価値観を持った世代です。
欧米では2015年ごろからこの若いZ世代の、新しい価値観を理解しようという運動が始まっています。
また、Z世代は、多くの社会運動に影響を受け、サステナビリティ意識や、権利などエシカルな思想を持っていると言われています。
今回は、アメリカのZ世代の傾向を例に、彼らの環境意識の高い消費を解説していきます。
Z世代とは?
Z世代とは、1990年代半ばから2000年代前半に生まれた人たちを指します。
現在の消費の主役とされているミレニアル世代の次の世代であり、新たな消費の主役となるとされています。
Z世代はこれまでの世代とは違い、10代のうちからスマホなどの携帯端末に触れている、真のデジタルネイティブです。
利用するプラットフォームや、コミュニケーション手段の変化に相まって、Z世代の購買行動は、これまでの世代とは全く異なるものになりつつあります。
Z世代は、これまでの世代よりも環境や社会に配慮した消費をするというのも大きなポイントです。
Z世代の特徴
Z世代には以下のような特徴があります。
- 強いつながりをもつ
- 多様性・インクルージョンを重視している
他者との強いつながりを持つ
デジタルネイティブのZ世代は、これまでの世代よりも、オンライン・リアルともに他者とつながる力が強いとされています。
Z世代は、多種多様なSNSの台頭とともに生き、常にその中心を担ってきたため、あらゆるプラットフォームで強いつながりを持ってきました。
また強いつながりは、情報収集からも見て取ることが可能です。Z世代は、広告よりも知っている個人からの情報に信頼を置く傾向があります。
Z世代は、多様性・インクルージョン
Z世代は、多様性やインクルージョン=包括性を重視する世代です。
人々の多様な特徴を認め合うことを善としており、人類や地球全体をインクルージョン=包括的に考えています。
ソーシャルメディアの利用が活発なZ世代は、日常的に社会問題を友人やクラスメイトなどと意見交換する機会が他の世代より多くあります。その結果、多様性やインクルージョンといった価値観を形成していったとみられています。
総合メディア会社Awesomenessの調査によると、「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」運動には80%が、トランスジェンダーの権利には74%が、フェミニズムには63%が同意しているとことです。
環境・サステナビリティに対する意識が高い消費
Z世代は、環境問題や、持続可能な社会へ強い意識を持っています。
SNS等の交流により様々な問題意識に共鳴したZ世代は、未来を左右する1つ1つの消費に強い使命を感じています。
例えば食品に関しては、フェアトレード、オーガニックに関連するものを好んで選ぶ傾向があるとのこと。
ファッションに関しては、積極的にサステナブルな商品を選んでいきたいと思っているようです。
マーケットプレイスの「Depop」コンサルタント会社の「Bainand Company」の統計によると、英国・米国・オーストラリアのZ世代の90%は、現在のファッションを「持続可能な製品に置き換えていきたい」と答えています。
Z世代を意識した、企業のサステナブルな取り組み
Z世代のサステナビリティ意識により、企業も新たな取り組みを始めています。
大きな発信力を持つブランドの持続可能な社会への取り組みは、次世代のZ世代を意識したものと言えるでしょう。
今回は、以下の企業によるサステナビリティな取り組みをご紹介していきます。
- H&M
- ナイキ
- コカ・コーラ
H&M
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ファッション業界の中でもいち早く環境への取り組みを始めたのがH&Mです。
スウェーデンが展開するこの企業は、2030年までに、「H&Mで発売する全製品をリサイクル可能な原材料にしていく」という高い目標を掲げています。
2017年ぐらいからスタートしたこの取り組みにより、今現在でも、全製品中64.5%の素材がリサイクル可能素材と高い比率です。
中でもコットンに関しては、100%オーガニック・リサイクル素材を利用しており、すでに目標を達成しています。
今後、コットン以外の素材に関してもリサイクル可能な新素材をどんどん投入していく予定とのことです。
なお、H&Mは、2021年に「リサイクル素材85%以上」の現在最もサステナブルな水着を発売しています。
さらにH&Mは、2016年に男女平等を示すインデックスで一位になるなど、公平で平等な雇用にも力を入れています。
働きやすさの改善に重きを置いていることも、Z世代に支持されている点です。
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ナイキは、サステナブルな社会のために、「Move to Zero」という取り組みをしています。
「Move to Zero」では、素材や製法の改善により二酸化炭素の排出量をゼロにすることを目指した取り組みです。
ナイキは、”世界中全てのアスリートに尽くすことがナイキの存在意義であるならば、地球環境を守ることはナイキの使命でもあります。この取り組みに、ゴールはありません。”と語っています。
使用後には廃棄されるだけだった素材を、リサイクル素材に置き換え環境にやさしく、それでいて機能性やファッション性を損なわないのはナイキの素晴らしい点です。
ナイキ製品の中で以下の基準を満たすものは「サステナブル素材」の表示がされます。
- アパレル製品=全重量のうち再生素材が50%以上
- シューズ=全重量のうち再生素材が20%以上
サステナブルスニーカーの詳細は以下の記事を参考にしてみてください。
廃棄物ゼロへと踏み出すシューズ、ナイキのサステナブルスニーカーとは?
コカ・コーラ
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コカ・コーラは、ペットボトルを再びペットボトルにするサイクルを目指す、「ペットボトルtoペットボトル」に取り組んでいます。
「ペットボトルtoペットボトル」のゴールは、使い終わったペットボトル容器を資源として回収、リサイクルして再利用することによるサーキュラーエコノミーです。
現在コカ・コーラのペットボトルはリサイクル材の比率が20%弱。まだまだ原油由来の素材に頼ってしまっていることは否めません。コカ・コーラは、さらなる技術開発により、このリサイクル材の比率を高めていくとのこと。
そして、2030年までにリサイクル材と自然由来の素材のみでできる、原油不使用のペットボトルの実現を目指しています。
さらに、コカ・コーラでは女性の雇用やサポートを充実させるなど、働きがいのある環境づくりにも重点を置いています。
まとめ
Z世代はサステナビリティやダイバーシティに強い関心を持っており、とりわけ人種・性別・の問題には多くのZ世代が立ち上がるべきだと考えています。
インクルージョン意識を強く持つZ世代は、消費に関しても環境や人、コミュニティーに貢献できるものを選ぶ傾向があります。
これからの世界を担うZ世代は、現実的な思考に加え、社会を良くしようという新たな価値観を持った世代と言えるでしょう。