イギリス王室チャールズ3世、動物愛護の観点から王宮でのフォアグラの提供を禁止
世界的に批判の声が上がっているフォアグラについて、イギリス王室の対応や他国の状況をご紹介します。ヴィーガン企業の開発した植物性フォアグラにも注目です!
チャールズ国王は、母であるエリザベス女王が96歳で死去したことを受け、2022年9月8日に即位。以前から動物愛護や環境問題にも関心が高いことでも知られています。
新国王の取り組みと、フォアグラが世界的に注目されている背景についてご紹介します。
目次
チャールズ国王が王宮でのフォアグラ提供を禁止
イギリスのチャールズ国王は、動物愛護のため、王宮内でのフォアグラの提供を正式に禁止しました。フォアグラは、高級な珍味として知られているガチョウやアヒルの肝臓です。
チャールズ国王は以前より動物福祉の重要性を表明しており、皇太子時代には、王室でのフォアグラの使用を禁止しています。
今回の決定は、王室がフォアグラの購入や提供をしないことを、書簡にて正式に明らかにしたものです。
環境問題にも積極的に取り組んでいる国王は、地球温暖化防止のため、食事による取り組みを行ってきました。
皇太子であったときには、「何年もの間、私は週に2日は肉や魚を食べていませんし、週に1日は乳製品を食べていません」と語っています。
環境問題をはじめ、動物福祉に対して王室が行動している背景には、これらの問題に対して世界の関心が高まっていることが挙げられます。
フォアグラについても、近年は世界的に批判が強まっている状況です。
イギリス王室のヴィーガン事情については、こちらの記事もご覧ください。
世界の王室ヴィーガン事情<チャールズ皇太子、ウィリアム王子>
フォアグラが動物福祉に反する理由
フォアグラを生産する際には、肝臓を大きくするために、ガチョウやアヒルの喉に大量の餌を強制的に流し込みます。
これについて、動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)やその他の動物権利団体は、過食により喉に穴が空き、多くの器官が破裂して早期に死亡させるとして批判を強めています。
フォアグラは動物にとって残酷であり動物福祉に反するという認識は世界に広がっており、生産や販売を禁止する国も増えているのが実情です。
フォアグラに対する世界の動き
フォアグラが動物福祉の観点から批判されていることを受け、一部の国や地域で生産や販売が禁止されています。
【イギリス】生産は禁止されている
チャールズ国王が王宮での提供を禁止したイギリスでは、フォアグラの生産は禁止されています。
ただし、販売と輸入は認められているため、イギリス国内でフォアグラを食べることは可能です。
【カリフォルニア州】州内での生産は禁止されている
アメリカのカリフォルニア州は、2012年にフォアグラの生産と売買を法律で禁止しました。しかし、2015年には、フォアグラの生産は禁止できても、売買や食べることを禁止するのは違憲であると判断され、この法律は撤廃されます。
その後2017年には、動物愛護の観点により全面禁止に。2020年には、カリフォルニア州外で生産されたフォアグラを購入することは許可されて現在に至ります。
【ニューヨーク州】販売と提供は禁止されている
アメリカのニューヨーク州では、「強制的に餌を与えられた一部鳥類の食材の販売と提供を禁止する条例」を可決し、2022年より施行されています。
違反した場合は、500~2,000ドル(約6万8千円~27万円)の罰金を支払います。
これらの国や地域の他にも、イタリアやドイツ、デンマークなど数カ国において、動物に強制的に餌を与える行為を禁じており、事実上、フォアグラの生産はできません。