サステナブルなウィスキーとは? 各銘柄10選の取り組みをご紹介
ウイスキーを作っているメーカーや蒸留所が、どのようなサステナブルな生産体制を実際に行っているか調査しました。海外の蒸留所や日本が保有する海外の蒸留所では、すでに長年にわたる活動や、これからの計画がしっかりと考えられています。今回は日本でも有名なウイスキーの銘柄/ブランド10選について、その取り組みをご紹介いたします。
8. Tamworth Distilling タムワース蒸留所
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タムワース蒸留所は2015年に開業してまもなくは遠心分離機に投資しました。遠心分離機は、1日に250ガロンの使用済み穀物廃棄物を効率的に処理して*アップサイクルします。
近くのサニーフィールドブリックオーブンベーカリーと提携して、50万ポンド近くの「廃棄物」を有機小麦粉、コーンミール、ブラックストラップ糖蜜、酵母、海塩、モルト大麦と合わせ、製品として生まれ変らせています。
また蒸留所近くの自然の森の中では、新鮮なものを手に入れることができ、松ヤニなどの自然のフレーバーを使って特定の方法で蒸留し、その成分の良さを引き出しています。
こうした活動を通して、持続可能な生産体制を作るとともに、タムワース蒸留所のある土地ならではの利点やオリジナリティを活かした特別な味を創り出すことができます。
*アップサイクルとは、サスティナブル(持続可能)なものづくりの新たな方法論で、本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること。
9. Far North Spirits ファーノーススピリッツ
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ファーノーススピリッツ蒸留所は全鋼構造で、現場での建設廃棄物を大幅に削減しました。
最も効率的な加熱システムを採用し、加熱に必要なのは小型のプロパン燃焼ボイラーだけです。
また蒸留所の床照明はすべてT5を採用し、初期設置時に必要なランプと照明器具の数を減らし、エネルギー消費量が削減しました。
さらに製造プロセスで使用される材料の大部分は、発生源が削減されているか、堆肥化可能であるか、リサイクル可能であるかのいずれかで、ごみ削減に繋がっています。
また同社は、ファーノーススピリッツの周りに600本以上の木を植え、さらに緩衝帯・砂防・野生生物の生息地、防風として機能する在来のプレーリーグラスを植えました。
野花は、ハエや蚊の捕食だけでなく、ミツバチや他の受粉を引き寄せるために原生草原地帯は大切な土地です。
さらに建物の屋根からの雨の流出は、原生草原地帯の溝に流れ込みます。この方法は、水の流れを遅くして侵食を減らし、堆積物やその他の潜在的な汚染物質を除去することで水質を改善します。
ごみ排出量を減らすだけではなく、周辺の野生生物の巣作りをする場所として最適な環境作りも行っており、地域に根ざした産業を行っていることがよくわかりますね。
10. ブルックラディ蒸留所
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スコットランド西岸のヘブリディーズ諸島、アイラ島の西海岸沿いにあるブルックラディ蒸留所は、1881年に設立されたままの伝統的な蒸留設備と、革新的なウイスキー作りが融合した蒸留所です。
ブルックラディ蒸留所は*Bコーポレーションの認証を受けたヨーロッパでは唯一のウイスキーとジンの蒸留所として、サスティナブルなウイスキー造りに取り組んでいます。
*Bコーポレーション:米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営。環境、社会に配慮した事業活動を行っており、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を満たした企業に対して与えられる民間認証です。
引用:Bコーポレーション
まとめ
サステナブルなウィスキーは、工場の場所、工場建設、原材料から製造プロセス、ボトル、梱包、出荷全てにおいてサステナブルな生産体制を目指した取り組みを行っている企業がたくさんあります。
日本での認知度はまだ少ないですが、サントリーやニッカウヰスキーはすでに取り組みを始めており、今後も日本のメーカー、蒸留所がもっとサステナブルな取り組みを発信していくようになると良いですね。