卵は健康に悪い?その実態と理由を徹底解説|卵の代替品もご紹介

卵は健康に悪い?その実態と理由を徹底解説|卵の代替品もご紹介

お料理や加工品など幅広く使用される卵は健康に悪いのか、その実態をいくつかの研究論文を用いて徹底解説。卵のコレステロールやサルモネラ菌に関してもご紹介します。

ハッピーキヌア編集部
2021年03月02日
卵は健康に悪い?その実態と理由を徹底解説|卵の代替品もご紹介

市販の鶏卵は汚染されている?

もちろん鶏にとっては ”汚染” されているわけでなく、人間のエゴでしかない話題ですが、卵を摂取する際には菌や農薬による人体への影響が懸念されます。

それらの危険性などについて触れたいと思います。

 

サルモネラ菌の危険性

卵と言えば、サルモネラ菌が心配ですが、その危険性はどれくらいなのでしょうか?

サルモネラは食中毒を引き起こす菌の一つで、発育温度は10℃以上、特に20℃以上になるとよく増殖し、発育至適温度は37℃位とされていますが、熱抵抗性が弱く十分な加熱で死滅します。

 

汚染される主な食品として卵(加工品含む)、食肉製品、乳製品などがあり、事件数が多い原因食品は、洋菓子、オムレツ、自家製マヨネーズ、卵納豆、だし巻き卵、卵入りどんぶり、とろろ、卵焼きなどで、卵とサルモネラの関係性が多く見られます。

 

食中毒症状としては4~48時間後に発症する事例が多く、主な症状は悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などです。

39℃以上の発熱が特徴で脱水症状を示す場合もあり、小児、老人の場合は重症で稀に死に至ることもあります。

 

生卵のサルモネラ菌汚染率

食品安全委員会が実施した研究事例では、日本全国から集めた市販の卵約10万個のうち、汚染されていたのは3検体でした。

さらに、2万個の卵から汚染が検出されなかったとのデータも併せ、汚染の確率を0.0029%程度と推定し、極めて低い割合となっています。

 

ただし、汚染率が低くても、リスクが無いわけではありません。

厚生労働省の統計によれば、未だに「卵類及びその加工品」を原因とした食中毒が発生していますので、やはり生卵を安全に食べるには相応の取組みが必要です。

(出典:総合衛生研究所 ティ・ビー・エル「卵とサルモネラについて」

 

上記にある、厚生労働省の食中毒統計を見ると、指導者・事業者への以下のメッセージが確認できます。

「近年、国内で年間100件程度、患者数は400~3,000人程度のサルモネラ食中毒の届出(全ての食品による事例)があります。

鶏卵を原因とするサルモネラ食中毒の届出数は減っていますが、引き続き、鶏卵や卵製品を使用した食品を原因とした発生にも十分注意を払う必要があります。

 

生卵はもちろん、鶏卵や卵製品を使用した食品を摂る場合は、十分に注意する必要があることは確かなようです。

 

卵の残留農薬

残留農薬に関しては、公益社団法人 日本食品衛生学会に抄録された、「市販国産鶏卵のフィプロニルをはじめとする残留農薬の調査」の内容を以下にご紹介します。

 

「2017年、EU諸国・香港・韓国・台湾などで、殺虫剤フィプロニルの不正使用による鶏卵汚染事件が確認され、大きく報じられた。

厚生労働省は、当該国からの輸入品監視強化を実施、また汚染鶏卵の輸入実績はないことを示したが、その一方、日本国内で生産される鶏卵の実態や検出状況についてまとめた報告の提供はなされていない。

そこで、本報告では、国内で生産流通される鶏卵50製品について、フィプロニルをはじめとした農薬116成分の残留調査を実施した。

その結果、フィプロニルが検出された製品は確認されなかった。45製品で検査対象農薬が検出される製品は確認されなかった。

殺虫剤スピノサドが検出された製品が4製品あった。その濃度は痕跡〜0.019 ppmであった。殺虫剤ジフルベンズロンが0.005 ppm検出された製品が1製品あった。残留基準値を超過する製品は認められなかった。」

(引用:公益社団法人 日本食品衛生学会「市販国産鶏卵のフィプロニルをはじめとする残留農薬の調査」

と、あります。

 

  • 殺虫剤フフィプロニル
    →フェニルピラゾール系の殺虫薬で、水稲等の作物への適用、動物用医薬品、防疫用殺虫剤、シロアリ駆除剤など、様々な場所、用途で広く使用されている成分。
  • 殺虫剤スピノサド
    →マクロライド系殺虫剤であり、農薬及び動物用医薬品として使用されている。
  • 殺虫剤ジフルベンズロン
    →ベンゾイルフェニル尿素系の殺虫剤である。幼虫の脱皮時に活発化する表皮のキチン質合成機能を阻害することにより殺虫効果を示すと考えられている。

 

上記の調査を行った農民連食品分析センターの公式サイトには以下の内容も記載されています。

 

「今回の調査規模から、日本で流通される鶏卵は、検出が認められないものであるといった判断ができるものではありません。これは統計的に見ても明らかです。

実態をより明確にできる調査をおこなうためには、より広範囲で多数の製品についての調査結果を得て、統計処理を行う必要があります。

今後も、市販鶏卵の残留農薬調査を実施していく予定です。」

(引用:農民連食品分析センター「市販鶏卵の残留農薬調査結果2017その1」

 

この調査により、残留基準値を超過する製品は認められなかった様ですが、調査規模(8製品16試験試料)が小さいことから、明確な調査結果とは言えないようです。

 

また、上記の殺虫剤スピノサドは、ワクモ(鶏に寄生するダニの一種)の対策に使われていますが、「日鶏協ニュース」に、以下のような掲載がありますのでご紹介します。

「日本から輸出した鶏卵が、台湾が実施した残留農薬検査で基準値をオーバ ーしたために輸入差し止めとなりました。

問題となった農薬はスピノサドで、日本でワクモ駆除剤に使用されています。

検出値は 0.14ppm で、日本の基準値 0.5ppm はクリアしていますが、輸出相手国の残留 農薬基準(台湾 0.05、香港 0.01)はクリアできません。」

(引用:日鶏協ニュース「日本の卵が台湾の残留農薬基準値をオーバー」

 

この情報を見る限り、残留農薬基準が、台湾や香港と比べてかなり高いことが分かり、日本の残留農薬基準値への疑問にも繋がります。

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