ヴィーガン、ベジタリアン、ペスクタリアンの違いとは?徹底解説
いったい何が違う?ヴィーガン、ベジタリアン、ペスクタリアンの違いを徹底解説。食生活や実践する理由による違いを詳しくご紹介します。また、気になる健康へのメリットに関しても詳しくご紹介します。
②環境のため
畜産業・酪農業がもたらす環境問題を理由に、ヴィーガンになる人も増えています。
肉や乳製品産業がもたらすとされる、温室効果ガスの排出、森林伐採、水消費量などが、より環境に悪いとされており、肉や乳製品を避けることを重要視します。
また、パームオイルを避ける場合もあります。
パームオイル自体は植物性食品であり問題ありませんが、製造・生産過程で間接的に環境や動物に悪影響を与えるという点で問題視されており、ヴィーガンの生き方へ反するという見方があるのです。
詳しくは、「ヴィーガンがパームオイルを避ける」の記事を参考にしてください。
さらに、近年においては、地球温暖化問題に対する運動も活発化し、このような環境問題を動機に、ヴィーガンを実践する人も増えています。
③健康のため
特に、欧米諸国では、糖尿病(2型糖尿病)や肥満人口が増加しており、これらの問題と動物性食品の摂取が深く関係している可能性から、ヴィーガンへ移行する人が増えています。
欧米諸国に多い、ということはこの影響もあるかもしれません。
イギリスの市場調査会社ミンテル(Mintel)による、イギリス人の成人1,000人以上を対象とした調査からは、肉の消費量を減らすことに関心のある人の合計49%が、健康上の理由でそうすると回答しています。
日本においても食が西洋化し、肉食中心な食生活を送る中で、健康への懸念が増し、ヴィーガンを実践している人々が増えているようです。
④エシカル(倫理的)な考えから
ヴィーガンになることを選択する理由として、エシカルな考えによる可能性もあります。
お肉を食べないことを選択するエシカル(倫理的)な理由は、以下の通りです。
- 食肉処理に反対する:食物のために動物の命を終わらせたくない
- 非人道的な工場慣行:非人道的な条件において、家畜を飼育する工場畜産を支援することを拒否する
- 劣悪な労働条件 :労働者にとって劣悪な条件の工場畜産を支援することを拒否する
- 人道上の理由 :世界に飢餓が非常に多い場合、動物飼料用の穀物を生産することを土地と資源の不当な使用と考えている
お肉を食事に取り入れることは、上記のような倫理的懸念へ繫がるという考えがあるようです。
「エシカル」に関しての記事も参考にしてくださいね。
以上のように、ヴィーガニズムは、動物愛護のひとつから、環境問題や個人の健康などに関する幅広い懸念に移行するにつれて、かつては少数派だったヴィーガンを実践する人が、ますます増えているようです。
続いては、ベジタリアンについてです。
ベジタリアンとは?
ベジタリアン (vegetarian) は、野菜・果物・豆類・ナッツなど植物性の食材を主体とし、卵・乳製品・ハチミツも摂ります。
英国のベジタリアン協会のサイトには、以下の記載があります。
「ベジタリアンとヴィーガンは、食肉処理の産物や副産物を食べません。
食肉処理の加工助剤を使用して作られた食品も一切食べません。」
(出典:The Vegetarian Society )
ベジタリアンの定義は流動的であるようですが、イギリスではお肉を食べない人をベジタリアンとする傾向があります。
ベジタリアン (Vegetarian) という用語は、英語での野菜、ベジタブル(Vegetable)が語源となります。
ラテン語の「vegetus」 に由来するという説をよく見ますが、実は、1906年出版の書籍「The Logic of Vegetarianism Henry Salt」の解釈に基づいて広まった後付けの理論とIVU(国際ベジタリアン連合)のサイトにあります。
また、サイトには、「現在の意味が何であれ、それは間違いなく「vegetus」とは何の関係もなく、単なる神話でした。誰かがそれを主張しているのを見たら、このブログを送ってください。」(引用元:IVU(国際ベジタリアン連合))
ともあり、この誤りがいかに浸透しているかが分かります。
ただし、ラテン語の「vegetus」 に由来し、「健全な・新鮮な・元気のある」という説が浸透し、1つの解釈として通っている現在、それに異論を唱えることもなさそうです。
ベジタリアンの種類
ベジタリアンにはいくつかの種類があり、以下のように分類されます。
- ラクト・オボ・ベジタリアン(lacto-ovo vegetarian):植物性食品と乳製品、卵は食べる。
- ラクト・ベジタリアン(lacto vegetarian):植物性食品と乳製品は食べる。
- オボ・ベジタリアン(ovo vegetarian):植物性食品と卵は食べる。
- オリエンタル・ベジタリアン:五葷( ネギ類ニラ類 ・ ニンニク ・ らっきょ)を除いたヴィーガン食だが、乳製品を含むこともある。
lactoが乳製品、ovoが卵です。全て肉と魚介類は摂らない食事法です。
「オリエンタル・ベジタリアン」に関する詳しい記事も参考にしてください。
オリエンタルヴィーガンとは?野菜の中でも「五葷」を避ける理由
また、部分的なベジタリアンとして、以下もあります。
- ペスクタリアン(Pescetarian):肉は食べないが、植物性食品と魚介類、卵、乳製品は食べる。
- フレキシタリアン(flexitarian):セミ・ベジタリアン(semi-vegetarian)とも呼ばれ、時々ベジタリアン食を取り入れる食習慣。(時には、肉・魚介類も食べるなど、柔軟性のある食生活を送る)
「フレキシタリアン」に関する詳しい記事も参考にしてください。
【ヴィーガン】ローラが実践する肉と菜食を組み合わせた食生活とは【フレキシタリアン】
他にも、ベジタリアンに関連した、以下の食事法もあります。
- ローヴィーガン(raw vegan):ローフード(raw food)とは、生(未加熱)のまま食べることができる、植物性食品のみ食べる食事法。
- マクロビオティック(Macrobiotic):穀物や野菜やなどの植物性食品をベースとした、日本の伝統食を重視する食事法であり、肉はあまり食べないことが推奨されている。
「ローヴィーガン」に関する詳しい記事も参考にしてください。
「マクロビオティック」に関する詳しい記事も参考にしてください。
「ヴィーガン」もベジタリアンの一種と分類されます。
上記の他にも、フルータリアン (fruitarian):果実・種子・ナッツのみを取る食事法などもあります。
ただ、いくつかの種類を組み合わせての食事法を実践する方もいるため、正確に分類するのは難しいとも言えます。
そのため、ここでは主な種類をご紹介しました。
ベジタリアンになる動機は、健康のため、動物愛護、環境問題など、ヴィーガンのそれと共通している点が多いですが、それに加え、古くは宗教的教義からの理由もあったようです。