ヴィーガンと健康|WHOも認める赤肉摂取とがんリスクの関係について解説
WHOの報告で認められた、赤肉・加工肉はがんのリスクを高める可能性について、研究データに基づき徹底解説。その科学的根拠や理由をご紹介します。
実際、WHOによると、赤肉や加工肉はがんのリスクを高める可能性があると認めている点から、やはり、お肉を食べない食生活を選択するヴィーガン・ベジタリアンには朗報と言えるでしょう。
そこで今回は、WHOも認める赤肉・加工肉摂取とがんリスクの関係を解説し、ヴィーガン実践で健康になれるのかについてもご紹介します。
ヴィーガンとは?
まず、ヴィーガンについてご説明します。
食生活
✕ 動物の肉全て(鳥肉・魚肉・その他の魚介類も含む)・昆虫・ゼラチン、または、動物レンネット・動物からのストック、または脂肪・卵・乳・乳製品などの動物性食品は一切食べない
〇 野菜・果物・ナッツ類などの植物性食品は食べる
※ハチミツ・白砂糖も摂らない場合もある
詳しくは、「ヴィーガンが、ハチミツや白砂糖を摂らない理由」に関する記事を参考にしてください。
ヴィーガンは、「動物性由来の食品は一切食べない」ということがキーワードとなり、お肉を摂取しない点から、いくつかの種類のがんリスクを減らすことも可能と考えられます。
ヴィーガンの定義や実践する理由
ヴィーガンとは、動物性の食品を一切摂取しない、「完全菜食主義」のことです。
この、「ヴィーガン」という用語は、1944年にイギリスのヴィーガン協会(The Vegan Society)が創設された際に命名されました。
【ヴィーガンの定義】
ヴィーガンの定義は以下のようになっています。
「ヴィーガンとは、食物や衣類、またはその他の目的のために動物を虐げるあらゆる形態を、可能な限り、実行可能な範囲で排除しようとする哲学および生き方です。
ひいては、動物や人間、環境の利益のために、動物を含まない代替品の開発と使用を促進します。
食事の用語では、それは全体的または部分的に動物に由来するすべての製品を省く慣行を意味します。」
(引用元:vegansociety「Definition of veganism」)
完全菜食主義が目的のヴィーガンもいますが、上記の定義から、その根底には、環境保護・動物愛護の思想があることが分かります。
しかし、ヴィーガンになる動機は他にもありますので、上記を含めて以下にご紹介します。
【ヴィーガンになる理由】
①動物愛護のため
ヴィーガンの定義にもありますが、動物愛護を動機としてヴィーガンになった方は多いとされます。
食はもちろんですが、ファッションや化粧品などあらゆる分野において、「動物愛護」を優先し、動物性となる毛皮やシルク、革製品、また動物性由来の日用品などは避けます。
また、動物実験を経て開発された、化粧品や石鹸、シャンプーなどの日用品も、極力避ける傾向にあります。
「動物性素材不使用」のヴィーガン製品に関する記事も参考にしてください。
②環境のため
畜産業・酪農業がもたらす環境問題を理由に、ヴィーガンになる人も増えています。
肉や乳製品産業がもたらすとされる、温室効果ガスの排出、森林伐採、水消費量などが、より環境に悪いとされており、肉や乳製品を避けることを重要視します。
また、パームオイルを避ける場合もあります。
パームオイル自体は植物性食品であり問題ありませんが、製造・生産過程で間接的に環境や動物に悪影響を与えるという点で問題視されており、ヴィーガンの生き方へ反するという見方があるのです。
詳しくは、「ヴィーガンがパームオイルを避ける」の記事を参考にしてください。
さらに、近年においては、地球温暖化問題に対する運動も活発化し、このような環境問題を動機に、ヴィーガンを実践する人も増えています。
③健康のため
特に、欧米諸国では、糖尿病(2型糖尿病)や肥満人口が増加しており、これらの問題と動物性食品の摂取が深く関係している可能性から、ヴィーガンへ移行する人が増えています。
欧米諸国に多い、ということはこの影響もあるかもしれません。
イギリスの市場調査会社ミンテル(Mintel)による、イギリス人の成人1,000人以上を対象とした調査からは、肉の消費量を減らすことに関心のある人の合計49%が、健康上の理由でそうすると回答しています。
日本においても食が西洋化し、肉食中心な食生活を送る中で、健康への懸念が増し、ヴィーガンを実践している人々が増えているようです。
今回ご紹介する「赤肉・加工肉摂取とガンリスクの関係」から、今後、健康面を考えて、ヴィーガンを実践する方も増えそうです。
④エシカル(倫理的)な考えから
ヴィーガンになることを選択する理由として、エシカルな考えによる可能性もあります。
お肉を食べないことを選択するエシカル(倫理的)な理由は、以下の通りです。
- 食肉処理に反対する:食物のために動物の命を終わらせたくない
- 非人道的な工場慣行:非人道的な条件において、家畜を飼育する工場畜産を支援することを拒否する
- 劣悪な労働条件 :労働者にとって劣悪な条件の工場畜産を支援することを拒否する
- 人道上の理由 :世界に飢餓が非常に多い場合、動物飼料用の穀物を生産することを土地と資源の不当な使用と考えている
お肉を食事に取り入れることは、上記のような倫理的懸念へ繫がるという考えがあるようです。
「エシカル」に関しての記事も参考にしてくださいね。
以上のように、ヴィーガニズムは、動物愛護のひとつから、環境問題や個人の健康などに関する幅広い懸念に移行するにつれて、かつては少数派だったヴィーガンを実践する人が、ますます増えているようです。
それでは、ヴィーガンになる理由の1つである「健康のため」に関係する「赤肉・加工肉摂取とがんリスクの関係」について、次に詳しくご紹介します。
この先、ショッキングな画像があるわけではないのですが、動物実験的に示された結果であることや、加工肉に関する話がありますので、敏感な方は閲覧に注意してくださいね。